なぜ、同じ日にやると安くなるのか
選挙にかかるお金は、性質の違う3つに分かれます。同日にしても消えない費用があるので、「半分になる」わけではありません。
2回やれば、まるまる2回分かかる費用
- 投票所の設営
- 投票管理者・立会人の報酬
- 職員の休日勤務手当
- 期日前投票所の運営
- 入場整理券の作成・郵送
- 開票所の設営・警備
- ポスター掲示場の設置工事
同日でも増えるが、2倍にはならない費用
- 開票事務の従事者
- 投票用紙・記載台
- 選挙公報(2種を同封)
同日にしても、まったく減らない費用
- 選挙公営費(ポスター作成)
- 選挙運動用自動車
- ビラ・はがき
前提を、あなたが動かしてください
市長選の単価は、令和8年度当初予算に計上された市長選挙費 8,005万円(款4選挙費・目2)とほぼ一致する水準に設定しています。市議選の確定額は令和3年執行分の決算が参考になります(令和7年執行分は参議院選挙と同日のため、経費が国費と按分されており単独執行の単価には使えません)。 納得できない数字があれば、その場で動かして結果を確かめてください。
1世帯あたり —
削減率 —
| 執行年 | 現状:別々に執行 | 出直し:市長選と同日 |
|---|---|---|
| 合計 | — | — |
この試算の、いちばん弱いところ
都合の悪い前提こそ、先に書いておきます。
20年間、統一が維持される保証はありません。
市長が任期の途中で辞職・失職すれば、後任の市長の任期はそこから新たに4年となり、日程は再びずれます。 一度ずれると、元に戻すには議会がもう一度自主解散するしかありません。
上のシミュレーターで「統一が維持されるサイクル数」を 2 にしてみてください。 20年で浮く額は、標準シナリオの3分の1程度まで落ちます。 「20年で3.9億円」という数字だけを掲げるのは、この脆さを隠すことになります。 確実に言えるのは「1サイクルで約6,500万円」まで。20年分は、維持できた場合の上限です。
制度上のハードルも重いものです。議会の自主解散には「地方公共団体の議会の解散に関する特例法」が使われ、 議員数の4分の3以上が出席し、その5分の4以上の同意が必要です。定数24の三郷市議会で全員が出席する場合、20人以上の賛成が要ります。 さらに解散から40日以内に選挙となるため、市長選の期日から逆算した解散日の設定が欠かせません。
ただ、お金の話は入口にすぎません
三郷市には、すでに答えに近い実績があります。
有権者11万4,049人にこの差を当てはめると、市議選1回あたりおよそ2万2,000人が追加で投票所に来る計算になります。 20年・5回で、延べ約11万人。
別々のままなら、これから20年で5回構成される三郷市議会が、そのすべてを有権者の4割弱の意思で選ばれ続けることになります。 3.9億円という金額より、この20ポイントのほうが重い。コスト削減は入口で、本丸は民意の厚みです。
反対意見にも、向き合う
この提案には、もっともな反対意見があります。都合のよい数字だけを並べないために、いちばん強い形の反対論と、それに対するいまの考えを併記します。
反対意見「市民が選挙で与えた4年の任期を、議会の都合で勝手に縮めるのは民意の軽視だ」
その重さは認識しています。だからこそ自主解散は議会の多数決だけで進めてよいものではなく、市民的な議論と合意形成が前提だと考えます。具体的には、全世帯向けの説明資料、公開の住民説明会、無作為抽出の市民アンケートで賛否と理由を測ったうえで議会が判断する、という手続きを想定しています。
同時に、解散は任期を縮める行為であると同時に「あらためて信を問う」行為でもあります。最終的な審判者は、その選挙で投票する市民自身です。このページはそのための判断材料として公開しています。
反対意見「市長選と市議選の争点が混ざり、それぞれへの審判がぼやける」
混ざる可能性は実際にあります。ただ、現状の投票率3〜4割という水準では「審判の質」以前に「審判への参加」そのものが細っています。
同日化で参加の母数を広げることと、争点を分けて伝える工夫(公開討論会・選挙公報の充実・候補者情報のデジタル化)はセットで設計すべきだと考えます。
反対意見「20年で3.9億円は年2,000万円弱。そのために制度を動かすほどの金額ではない」
金額だけを見ればその批判は成り立ちます。このページでも「コスト削減は入口で、本丸は投票率=民意の厚み」と位置づけています。
金額が小さいと感じる方にこそ、これを「お金の議論」ではなく「有権者の6割が参加しない選挙を続けるのか」という議論として評価してほしいと考えています。
反対意見「同日化すれば、市民が審判を下す機会そのものが20年で10回から5回に半減する」
そのとおりで、これは同日化の本質的なコストです。1回あたりの投票率が上がっても、市政を問い直すタイミングは半分になります。
私は「参加の薄い審判が10回」より「参加の厚い審判が5回」に価値があると考えていますが、これは価値判断であり、数字だけでは決着しません。だからこそ最後は市民的議論で決めるべき論点です。
反対意見「同日選挙は投票用紙の交付ミスや開票の深夜化など、現場の負担とリスクを増やす」
選挙管理の現場実務として正しい指摘です。2種類の投票用紙の色分け・交付動線の設計・従事者研修・開票体制の増強が必要で、「同日にすれば単純にラクになる」わけではありません。
このページの同日執行単価(1.1億円)が単独2回の合計より3割程度しか安くならないのは、まさにこうした現場コストが残るためです。制度設計は選挙管理委員会との協議が大前提です。