Vertical Evacuation
2026年8月13日の大雨を受けて
上に逃げれば、
助かるのか。
雨が強くなると「2階に上がればいい」と聞きます。それが正しいときもあれば、いちばん危ない選択になるときもあります。分かれ目がどこにあるのかを、市の計画そのものから読みました。

垂直避難は、条件つきの選択です。

本ページは鈴木優作が三郷市地域防災計画(公表資料)からまとめた非公式の資料で、市・議会・会派の公式見解ではありません。避難の判断は、そのときの避難情報と、ご自身の住まいの状況によります。迷ったら、市の発表と気象庁の情報を優先してください。

三郷市の堤防
Not In The Plan

「垂直避難」は、計画に載っていない言葉です

三郷市地域防災計画に、
この言葉は一度しか出てきません。

第4編 p.4-85
「立退き避難」は、自らが居る建物から離れ避難するという意味で「水平避難」と呼称される場合もあれば、浸水から身を守るため上の方に避難するという意味で「垂直避難」と呼称される場合もある。

つまり計画は、垂直避難を独立した行動として定義していません。上に逃げる行動には、別の正式な名前があります。「屋内安全確保」です。

出典: 三郷市地域防災計画 第4編 風水害対策計画 4.1 避難行動(安全確保行動)の考え方(p.4-85)。

屋内安全確保には、
3つの条件があります。
Three Conditions

3つとも満たして、はじめて成り立つ

計画は「少なくとも以下の条件が満たされている必要があり、居住者等が自ら確認・判断する必要がある」と書いています。市が決めてくれるものではありません。

01
家屋倒壊等氾濫想定区域に、家がないこと
堤防が切れたときに、家そのものが倒れたり流されたりすると想定されている区域です。ここでは、上に逃げても建物ごと失われます。区域に入っていなくても、川や堤防に面していればリスクは高い、と計画は付け加えています。
02
浸水しない居室があること
「2階がある」ではありません。想定されている浸水の深さより上に、居られる部屋があるかです。同じ2階建てでも、浸水深3メートルなら2階の床は水の中です。
03
一定期間、浸水し続けても耐えられること
計画が挙げている支障は2つ。水・食糧・薬等の確保が困難になるおそれ電気・ガス・水道・トイレ等が使えなくなるおそれ。これを「許容できること」が条件です。

出典: 同上(p.4-85)。※1・※2の注記を含む。

The Overlooked One

見落とされるのは、3つめです

上に逃げたあと、
どれだけそこにいることになるのか。

計画は、その状態を想定して章を立てています。見出しそのものが答えになっています。

第4編 p.4-160
浸水が数日から数週間続く等、孤立期間が長期間にわたった場合、避難所や病院及び介護施設や社会福祉施設内等に対し、水、食料等を供給する。

輸送が難しいときは、県の防災航空隊・自衛隊・消防に応援を要請し、ヘリコプターによる上空からの投入や、搬送用ボートで運ぶ、と書かれています。つまり屋内安全確保とは、助けが来るまで自分の家で待つことでもあります。

出典: 同 13.4 浸水継続時間が長期にわたった場合の食料の供給(p.4-160)、および同様の記述が救援物資の供給(p.4-165)にもある。

How Long

三郷では、水が来るのも引くのも遅い

計画は、利根川の堤防が決壊した場合に氾濫した水が三郷市へ到達する最短時間を、国土交通省のデータから引いています。

利根川が決壊したとき(最短)
16時間
中川沿いの一部が浸水する。
18時間
市北部の中川沿いに浸水域が広がる。
20時間
市北部西側域に広がり、大場川沿いで一部浸水する。
22時間
市内のほぼ全域に浸水が広がる。
36時間
最大浸水深に到達する。

来るまでに時間があるということは、逃げる時間があるということでもあります。そして、いちばん深くなるまで1日半かかるということは、引くのにもそれだけかかるということです。

出典: 同 4.2 避難情報(p.4-91)《参考》利根川堤防決壊(利根川上流河川事務所ビューワーデータより)。

Level 4

レベル4は「全員避難」。どちらを選ぶかは、自分で決める

警戒レベル4 避難指示
危険な場所から全員避難(立退き避難又は屋内安全確保)する。
第4編 p.4-88
避難情報は、立退き避難の区域と屋内安全確保の区域を別に示すものではなく、水害の可能性のある範囲全体を対象に発令するものであり……

市は「この地区は上に逃げてよい」とは言いません。言わないのではなく、区域を分けて出す仕組みになっていないのです。だから計画は、住民一人ひとりがハザードマップであらかじめ確認しておくことが重要だ、と続けています。

出典: 同 4.2 避難情報(p.4-88)。

What To Check

では、雨が降る前に何を確かめるか

4つだけです。
どれも、いま調べられます。

01
家屋倒壊等氾濫想定区域に入っているか
ここに入っていたら、上に逃げるという選択は消えます。三郷市水害ハザードマップで確認できます。
02
自宅の浸水深は、何メートルか
その高さより上に、居られる部屋があるかどうか。「2階がある」ではなく「浸水深より上か」で見ます。
03
水・食料・薬・トイレは、何日分あるか
計画が想定しているのは「数日から数週間」です。トイレは見落とされがちですが、水道が止まれば流せません。
04
停電すると、何が止まるか
エアコン、冷蔵庫、電動の医療機器、オートロック、エレベーター。上の階にいるほど、エレベーターが止まる影響は大きくなります。

この4つが揃わないなら、答えははっきりしています。早いうちに、水が来ないところへ移ることです。計画も「立退き避難が最も望ましい」と書いています。

A Different Problem

今日の冠水は、この話とは別です

2026年8月13日に三郷市内で起きた道路冠水は、川があふれたものではありません。水路や側溝から水が出る内水氾濫です。ここまで書いてきた避難情報の基準は、江戸川なら野田、中川なら吉川といった大きな川の水位で決まるため、内水氾濫では基準に触れません。

深さも続く時間も違うので、同じ「水が出た」でも取るべき行動が変わります。垂直避難を考えるのは、川があふれる場合の話です。

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自助・共助・公助の線引き。
  • 三郷市地域防災計画 第4編 風水害対策計画(4.1 避難行動の考え方 p.4-85/4.2 避難情報 p.4-88・p.4-91/13.4 食料の供給 p.4-160)
  • 三郷市水害ハザードマップ(令和7年3月更新)
  • いずれも三郷市の公表資料。2026年8月14日に確認。
作成:鈴木優作(三郷市議会議員/創政MISATO)
上に逃げるという選択を、条件ごと持っておく。

本ページは「鈴木優作調べ」です。三郷市の条例と公表情報をもとに個人でまとめたもので、市・議会・会派の公式見解ではありません。実際の手続きや窓口は、必ず三郷市の公式情報をご確認ください。