何人に聞けば、足りるのか
信頼度95%・回答比率50%と仮定した場合の必要回答数です(三郷市の人口14万人を母集団として計算)。
| 許容誤差 | 必要回答数 | 何が言えるか |
|---|---|---|
| ±5% | 384人 | 「45〜55%」程度の粗い把握 |
| ±3% | 1,059人 | 自治体の市民意識調査の標準 |
| ±2% | 2,360人 | 地区・年代別の分析にも耐える |
| ±1% | 8,987人 | 過剰。ここまでは要らない |
「±3%」とは、調査で60%という結果が出たとき、本当の値は57〜63%の間にある(95%の確からしさで)という意味です。1,059人に聞けば、14万人の傾向がその精度で分かります。
母集団が大きくなっても、必要数は増えません
| 母集団の大きさ | ±3%に必要な回答数 |
|---|---|
| 5万人 | 1,045人 |
| 14万人(三郷市) | 1,059人 |
| 50万人 | 1,065人 |
| 100万人 | 1,066人 |
| 1,000万人 | 1,067人 |
1,000万人でも1,067人。母集団が200倍になっても、必要な回答数は2%しか増えません。「人口が多いからもっと集めなければ」という発想は、統計的には必要ないということです。
ただし、細かく分けて見るなら別計算です
上の数字は「市全体の傾向」を語るためのものです。「北部の30代はどうか」のように分けて見る(クロス集計)なら、話が変わります。
1,000人の調査でも、10のマスに分ければ1マス100人。20に分ければ50人です。50人のうち30人がそう答えた、という数字を「6割が支持」と語ると、実態から大きくずれます。集計表を見るときは、まず「そのマスに何人いるか」を確認してください。
人数より、集め方のほうが効きます
SNSで告知して集めた3,000人のアンケート。
信頼できるのは、前者です。
SNSで告知して集めた回答は、答えた人が自分で「答える」と決めています(自己選択)。その時点で、上の誤差計算はそもそも成立しません。関心のある人、時間のある人、その発信者を見ている人に偏るからです。
では任意回答の調査に価値がないかというと、そんなことはありません。「参考値」としての価値は十分にあります。大事なのは、誤差を書かずに「回答者〇〇人の声」と明記すること。そのほうが、かえって信頼されます。
調査結果を引用するとき、確認する4点
議会での質疑でも、行政の資料でも、報道でも。この4つを確認すれば、その数字がどれだけ信用できるか判断できます。
この4点は、私が議会で調査結果を引用するときにも自分に課しています。数字を出す側が、その数字の限界を先に言う——それがないと、議論が数字の押し付け合いになってしまうからです。
私がやっているのは、その手前の作業です
実は私は、三郷市の統計から2,360人分の「架空の市民」をつくって、政策を考えるときの検討材料にしています。±2%の精度に相当する人数です。
| つくり方 | 中身 |
|---|---|
| 実データを使った部分 | 町丁目ごとの年齢構成・世帯類型・住宅の所有・外国人人口(令和2年国勢調査 小地域集計・91町丁目)/小学校区・中学校区(学区データとの照合)/障害者手帳の保持率(みさと統計書)/事故の多い地点(人身事故2,851件から抽出) |
| 推計した部分 | 職業・移動手段・情報の入手先・市政への関心・投票行動・年収・悩み |
実データに基づく部分は、統計と照合して誤差1pt以内まで合わせています。高齢化率27.3%に対して27.3%、持ち家率63.2%に対して63.5%、といった具合です。
たとえば、こういう使い方をします
路線バスについて考えたとき、この2,360人で「誰が関係するか」を数えてみました。
この3つは、答えではなく問いです。「本当にそうなのか」を確かめるには、実際の市民に聞くしかありません。シミュレーションでできるのは、聞くべきことを絞り込むところまでです。
ここから先は、本物の声が要ります
どれだけ統計に忠実につくっても、架空の人物は実際に困っている人の言葉を持っていません。「保育園の送り迎えがきつい」と書くことはできても、それが何時に、どの道で、どうきついのかは、本人にしか言えません。
私が市長選のページで「私に届く声には偏りがあります」と書いたのも、同じ考え方です。私に声が届くのは、私に会える人・LINEを使う人・市政に関心がある人。その外側にいる人の数を、統計から知っておきたい——そのためにこのシミュレーションを作りました。