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地方自治法/自治基本条例/議会基本条例/会議規則/政治倫理条例

議員の情報発信を
めぐる条文の整理

議員の情報発信について、条文が何を定めているかを並べたものです。守秘義務が置かれている場面、懲罰の要件、情報提供に関する条文、そして明文が置かれていない領域。順に見ていきます。

本ページは鈴木優作が条文からまとめた非公式の資料で、市・議会・会派の公式見解ではありません。特定の事案について書いたものではありません。条文は2026年8月15日に確認したものです。

1. Confidentiality

守秘義務が置かれている場面

議員が知り得たことを外に出してはならない、と明文で定めている条文は2つある。

会議規則 第49条2項(本会議)/第113条2項(委員会)
秘密会の議事は、何人も秘密性の継続する限り、他に漏らしてはならない。
政治倫理条例 第5条8項
委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、同様とする。
名宛人
秘密会は「何人も」。政治倫理審査会は「委員」。後者は委員のみを対象とし、退任後も続く。
審査会の公開・非公開
政治倫理条例6条5項は「審査会は公開とする」を原則とし、会長が審査会に諮って非公開にできる、という構造をとる。
手続き上の扱い
懲罰動議は原則として事犯の日から3日以内に提出することとされているが、秘密保持違反はこの期限の適用外とされている(会議規則163条2項ただし書き)。
2. Discipline

懲罰の要件と、品位保持の場所

地方自治法 第134条1項
普通地方公共団体の議会は、この法律並びに会議規則及び委員会に関する条例に違反した議員に対し、議決により懲罰を科することができる。
地方自治法 第132条
普通地方公共団体の議会の会議又は委員会においては、議員は、無礼の言葉を使用し、又は他人の私生活にわたる言論をしてはならない。
134条が定める要件
懲罰の対象は「この法律並びに会議規則及び委員会に関する条例に違反した議員」。違反の対象となる規範が、条文上限定されている。
132条が定める場所
冒頭に「会議又は委員会においては」と場所の限定が置かれている。議場および委員会室での言論を対象とする条文である。
懲罰の種類
戒告・陳謝・出席停止・除名の4種(135条1項)。動議は議員定数の8分の1以上の発議による(同2項)。

両条を合わせると、議場外の発信が懲罰の対象となるのは、その発信が地方自治法・会議規則・委員会条例のいずれかに違反する場合ということになる。秘密会の内容の漏洩は、会議規則違反として134条の要件に当たる。

3. Disclosure

情報提供に関する条文

発信の側にも、条文が置かれている。名宛人が「議員」か「議会」かで分かれる。

自治基本条例 第11条(議員の責務)
議員は、自らの責任を自覚し、自己研鑽、多様な市民等の意見の把握及び議会活動に関する情報の提供に努め、常に市民等の福祉の向上を行動の指針として、その職務を誠実に行うものとする。
自治基本条例 第10条(議会の運営)
議会は、市民等の意見を十分反映し、市民等に分かりやすく、市民等から信頼される、開かれた議会の実現に努めるものとする。
自治基本条例 第30条2項(情報の提供)
議会及び執行機関は、情報の提供にあたっては、広報、ホームページ等を積極的に活用し、市政情報を分かりやすく、かつ、入手しやすい複数の方法で市民等に提供するものとする。
議会基本条例 第16条2項(議会広報の充実)
議会は、情報技術の発達を踏まえた多様な広報手段を活用することにより、多くの市民が議会と市政に関心を持つよう広報活動の充実に努めるものとする。
議員個人が名宛人の条文
自治基本条例11条のみ。対象は「議会活動に関する情報」で、市政全般ではない。
議会が名宛人の条文
10条・29条・30条、議会基本条例5条〜8条・16条。議会は合議体であり、その意思は議決による。これらを議員個人の義務と読むことはできない。
義務の強さ
いずれも「努めるものとする」。努力義務の書き方であり、権利を直接に付与する条文ではない。
4. Relations

条文どうしの関係

自治基本条例 第54条(条例の位置付け)
個別の条例、規則、計画等の制定若しくは策定又は解釈においては、この条例の趣旨を最大限尊重するものとする。……この条例の施行前に既に施行されている条例、規則等は、この条例との整合を図るため、適宜見直しを行うものとする。
適用の場面
「制定若しくは策定」だけでなく「又は解釈においては」と書かれている。既存の条例・規則をどう読むかの場面にも及ぶ。
位置づけ
前文は本条例を「市民共有の最高規範」と位置づけている。ただし違反の効果は条文に定められていない。
既存規定との関係
3項は、施行前からある条例・規則等について「整合を図るため、適宜見直しを行う」としている。
5. Silence

明文が置かれていない領域

ここまでを整理すると、次のことが条文から読み取れる。

01
議員の発信一般を制限する条文は、置かれていない
地方自治法・会議規則・委員会条例のいずれにも、議場外の情報発信そのものを対象とする規定は見当たらない。
02
守秘義務は、場面を特定して置かれている
秘密会と、政治倫理審査会の委員。個別に場面を特定した書き方がとられている。
03
発信の側には、努力義務が置かれている
議員個人に対しては、議会活動に関する情報の提供(自治基本条例11条)。
04
条文がない場面の運用も、54条の対象になる
54条は「解釈においては」この条例の趣旨を最大限尊重するとしている。明文がないことは、何を定めてもよいことを意味しない。

なお、発信の内容が名誉毀損・侮辱・虚偽にあたる場合や、著作権・肖像権を侵害する場合の責任は、ここで扱った条文とは別の法律による。議会の権限の有無とは切り離して考える必要がある。

Notes

この整理の限界

条文の文言だけを見ている
裁判例や行政実例には当たっていない。条文の読み方として一つの整理を示したにとどまる。
申し合わせ・内規は含めていない
議会内の申し合わせが運用を左右することはある。ここでは条例・規則の条文に限って整理した。
努力義務の評価は含めていない
「努めるものとする」をどの程度の拘束と見るかは、この整理では扱っていない。
Related

あわせて読む

条文とは別に、自分で定めた運用の基準。
著作権・肖像権。
戒告・陳謝・出席停止・除名。
条例と施行規程から読んだ手続き。
  • 地方自治法 第132条(品位の保持)・第134条(懲罰)・第135条(懲罰の種類)
  • 三郷市自治基本条例(平成21年6月12日 条例第16号)前文・第10条・第11条・第29条・第30条・第54条
  • 三郷市議会基本条例 第5条・第7条・第8条・第16条
  • 三郷市議会会議規則 第49条・第113条・第163条
  • 三郷市議会議員政治倫理条例(令和7年3月21日 条例第13号)第5条8項・第6条5項
  • 条文は三郷市例規集および地方自治法の本文から引用。2026年8月15日確認。
作成:鈴木優作(三郷市議会議員/創政MISATO)

本ページは「鈴木優作調べ」です。三郷市の条例と公表情報をもとに個人でまとめたもので、市・議会・会派の公式見解ではありません。実際の手続きや窓口は、必ず三郷市の公式情報をご確認ください。