まず、三郷市の学校のいまを数字で
令和7年5月1日現在、市立小学校18校に7,341人(307学級)、中学校8校に3,256人(112学級)。三郷市は北郷小→彦糸小(平成24年)、後谷小→前間小(令和6年)などの統合・再編を重ねてきました。児童生徒数のピークは平成元年(約37年前)で、最大規模校は増築が必要な水準——「余剰」は市内で偏在しています。
統合の数を動かしてみてください
1校あたりの運営費(光熱水費+修繕費 約690万円/年)と建替え費用は三郷市の実数・実勢単価ベース。効果の主役は毎年の運営費ではなく、将来の建替え費用の回避です。建替えには国庫負担(統合に伴う新増築は1/2への嵩上げ)・交付金・起債の交付税措置があるため、「市の実負担割合」スライダー(初期値50%)で市の財布ベースに換算します。
統合後の学校数: 小学校17校・中学校8校。教員の人件費は主に埼玉県の負担のため、統合しても三郷市の財布には直接現れません(この試算には含めていません)。
| 統合する小学校数 | 統合後 | 40年間の総合効果 | 10年間の現金収支 |
|---|
お金で決めるテーマでは、ありません
学校統廃合の主語は財政ではなく「子どもの教育環境」です。この試算は判断材料のひとつにすぎません。
小規模校には、課題と良さの両方があります
文部科学省の手引は、クラス替えができない・多様な考えに触れる機会や集団活動に制約が生じる、といった小規模校の課題を挙げています。一方で、一人ひとりに目が届きやすいきめ細かな指導は小規模校の強みです。 国と三郷市の基準(12学級以上)を下回る学校が小10校・中4校ある事実と、それぞれの学校が果たしている役割の両方を見て議論すべきです。
通学距離と、地域の核という役割
三郷市の方針では通学距離の目安は小学校2km・中学校3km以内。統合でこれを超える地域にはスクールバス等の代替が前提条件になります(試算に計上済み)。 また学校は指定避難所であり、地域コミュニティの核でもあります。廃校にする場合も、避難所機能と地域活動の場の代替をセットで設計する必要があります。
この試算に含まれていないもの
- 教員人件費 — 主に県費負担のため市の削減効果には現れません(国・県全体では効果があります)
- 解体費・跡地の処分制約 — 校舎の解体は延床5,800㎡級で1.5〜2億円規模。国庫補助を受けた財産の売却・転用には処分制限の手続きが伴います
- 跡地の活用 — 売却・転用できれば効果はさらに大きくなり、放置すれば維持費が残ります
- 合意形成のコスト — 説明会・通学区域の再編・校名や校歌への愛着。数字にならない負担が最も重いことを忘れずに
反対意見にも、向き合う
この提案には、もっともな反対意見があります。都合のよい数字だけを並べないために、いちばん強い形の反対論と、それに対するいまの考えを併記します。
反対意見「学校がなくなった地域は衰退する。若い世帯が来なくなり、長期では削減額を上回る損失になる」
最大の反対意見であり、この損失が数値化されていないことがこの試算の限界です(「含まれていないもの」にも明記しています)。
跡地に子育て支援・地域活動・避難所の機能を残す再投資の設計まで含めて、初めて統廃合は成立すると考えます。「削減額を地域に返す」発想が前提です。(機能を残す場合はその分の光熱費・修繕費・将来更新費が残るため、財政効果は目減りします。シミュレーターの前提を動かして確認できます)
反対意見「財政メリットは大人が受け取り、通学の負担は子どもが背負う。負担の付け替えだ」
負担の非対称性の指摘はその通りです。だからこの試算ではスクールバスを標準装備としてコスト計上しています。
順番も重要です。先に「通学時間の上限」を決め、それを守れる統合案だけを検討する——財政から入らず、子どもの条件から入るべきです。
反対意見「小規模校こそ一人ひとりに目が届く。不登校の子の受け皿にもなっている」
小規模校の価値は実在します。私はすべての小規模校を統合すべきだとは考えていません。
12学級未満=即統合ではなく、学校ごとに教育条件と地域事情を個別に見るのが前提です。このページはあくまで「規模の全体像」と「動かせる試算」を提供するものです。