「垂直避難」は、計画に載っていない言葉です
三郷市地域防災計画に、
この言葉は一度しか出てきません。
「立退き避難」は、自らが居る建物から離れ避難するという意味で「水平避難」と呼称される場合もあれば、浸水から身を守るため上の方に避難するという意味で「垂直避難」と呼称される場合もある。
つまり計画は、垂直避難を独立した行動として定義していません。上に逃げる行動には、別の正式な名前があります。「屋内安全確保」です。
出典: 三郷市地域防災計画 第4編 風水害対策計画 4.1 避難行動(安全確保行動)の考え方(p.4-85)。
3つの条件があります。
3つとも満たして、はじめて成り立つ
計画は「少なくとも以下の条件が満たされている必要があり、居住者等が自ら確認・判断する必要がある」と書いています。市が決めてくれるものではありません。
出典: 同上(p.4-85)。※1・※2の注記を含む。
見落とされるのは、3つめです
上に逃げたあと、
どれだけそこにいることになるのか。
計画は、その状態を想定して章を立てています。見出しそのものが答えになっています。
浸水が数日から数週間続く等、孤立期間が長期間にわたった場合、避難所や病院及び介護施設や社会福祉施設内等に対し、水、食料等を供給する。
輸送が難しいときは、県の防災航空隊・自衛隊・消防に応援を要請し、ヘリコプターによる上空からの投入や、搬送用ボートで運ぶ、と書かれています。つまり屋内安全確保とは、助けが来るまで自分の家で待つことでもあります。
出典: 同 13.4 浸水継続時間が長期にわたった場合の食料の供給(p.4-160)、および同様の記述が救援物資の供給(p.4-165)にもある。
三郷では、水が来るのも引くのも遅い
計画は、利根川の堤防が決壊した場合に氾濫した水が三郷市へ到達する最短時間を、国土交通省のデータから引いています。
来るまでに時間があるということは、逃げる時間があるということでもあります。そして、いちばん深くなるまで1日半かかるということは、引くのにもそれだけかかるということです。
出典: 同 4.2 避難情報(p.4-91)《参考》利根川堤防決壊(利根川上流河川事務所ビューワーデータより)。
レベル4は「全員避難」。どちらを選ぶかは、自分で決める
危険な場所から全員避難(立退き避難又は屋内安全確保)する。
避難情報は、立退き避難の区域と屋内安全確保の区域を別に示すものではなく、水害の可能性のある範囲全体を対象に発令するものであり……
市は「この地区は上に逃げてよい」とは言いません。言わないのではなく、区域を分けて出す仕組みになっていないのです。だから計画は、住民一人ひとりがハザードマップであらかじめ確認しておくことが重要だ、と続けています。
出典: 同 4.2 避難情報(p.4-88)。
では、雨が降る前に何を確かめるか
4つだけです。
どれも、いま調べられます。
この4つが揃わないなら、答えははっきりしています。早いうちに、水が来ないところへ移ることです。計画も「立退き避難が最も望ましい」と書いています。
今日の冠水は、この話とは別です
2026年8月13日に三郷市内で起きた道路冠水は、川があふれたものではありません。水路や側溝から水が出る内水氾濫です。ここまで書いてきた避難情報の基準は、江戸川なら野田、中川なら吉川といった大きな川の水位で決まるため、内水氾濫では基準に触れません。
深さも続く時間も違うので、同じ「水が出た」でも取るべき行動が変わります。垂直避難を考えるのは、川があふれる場合の話です。
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あわせて読む
- 三郷市地域防災計画 第4編 風水害対策計画(4.1 避難行動の考え方 p.4-85/4.2 避難情報 p.4-88・p.4-91/13.4 食料の供給 p.4-160)
- 三郷市水害ハザードマップ(令和7年3月更新)
- いずれも三郷市の公表資料。2026年8月14日に確認。
上に逃げるという選択を、条件ごと持っておく。