役所の人事は、
どう決まるのか。
「がんばった人が報われる役所に」と言うのは簡単です。けれど、公務員の給与も評価も、市が自由に決められるわけではありません。どこまでが法律で、どこからが市の設計なのかを分けます。
給与は、市長が決めているわけではない
職員の給与は、生計費並びに国及び他の地方公共団体の職員並びに民間事業の従事者の給与その他の事情を考慮して定められなければならない(第2項)。/職員の給与、勤務時間その他の勤務条件は、条例で定める(第5項)。
ここに2つの縛りがあります。①均衡の原則——国・他の自治体・民間と大きくかけ離れた給与にはできない。②条例主義——最後は議会が条例で決める。
つまり「市の給与水準を上げる」という話は、市長の一存でも、議員の一存でも成立しません。条例改正の議案が出て、議会が議決して、はじめて動きます。
人事評価は、すでに法律で義務になっている
「評価制度をつくる」という段階は、実は終わっています。2016年から、すべての自治体に義務づけられています。
職員の人事評価は、公正に行われなければならない。任命権者は、人事評価を任用、給与、分限その他の人事管理の基礎として活用するものとする。
評価は能力評価(発揮した能力)と業績評価(挙げた業績)の2本立てが標準です。そして評価結果を、昇任・昇給・勤勉手当に反映させることまで法が求めています。
だから論点は「評価するかどうか」ではありません。どう評価し、どこまで処遇に返しているかです。ここは市の設計であり、市の裁量です。
制度としてあるもの
- 能力評価・業績評価の2本立て
- 期首の目標設定と期末の面談
- 昇任・昇給・勤勉手当への反映
- 苦情への対応のしくみ
形だけになりやすいところ
- 評価がほぼ全員同じ区分に寄る
- 目標が達成できる範囲で設定される
- 反映の幅が小さく、動いても動かなくても変わらない
- 失敗した挑戦が、減点としてだけ残る
前例を守った人が損をしない設計になっているかぎり、動いた人は報われません。制度の有無ではなく、分布と反映幅の問題です。
人は、増やしたくても増やせない
職員数は「必要だから増やす」では動きません。いくつもの枠がかかっています。
- 定数条例職員の定数は条例で定めます。増やすにも減らすにも議会の議決が要ります
- 定員適正化計画多くの自治体が中期の職員数の目標を持っています。総枠が決まっているなかでの配分になります
- 人件費と経常収支比率人件費は経常的な支出なので、増やすと経常収支比率に直接効きます。三郷市はすでに100.7%(令和6年度決算)です
- 会計年度任用職員2020年度から制度化され、期末手当等の支給対象になりました。「安く人を増やす」という選択肢は、以前より狭くなっています
- 教職員は別枠公立小中学校の教職員は県が任命し、県が給与を負担します(県費負担教職員)。市が増員を決めることはできません
では、市に何ができるのか
法律の枠の内側にも、市の設計次第で変わるものが確かにあります。
私の考え
この一年、議員として中から見てきて思うのは、足りていないのは職員の能力ではないということです。力を発揮できる仕組みのほうが足りていない。
だから「評価制度をつくる」ではなく、すでにある評価が実質的に効いているかを確かめるところから始めるべきだと考えています。分布はどうなっているか。処遇にどれだけ返っているか。挑戦はどう扱われているか。
そして給与水準の話をするなら、順番があります。まず仕事の総量を減らし、その効率化で生まれた分を原資にする。原資を示さずに引き上げだけを言うのは、財源のない約束です。
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・三郷市の財政を家計に置きかえる — 人件費と経常収支比率の関係
・庁舎の紙をやめると、10年で約1.1億円 — 仕事の総量を減らす話
・事前監査のチェック項目 すべて公開 — ラスパイレス指数、時間外の偏在など
・鈴木優作が描く三郷の未来 — 「動いた人が、報われる」の章
このページは制度の解説です。特定の職員や部署を論評するものではありません。条文は e-Gov 法令検索の現行法令によります(2026年8月確認)。三郷市のラスパイレス指数、定員適正化計画の内容、人事評価の運用実態は未確認と明記しています。誤りを見つけたら教えてください。