Petition to the Assembly
議会に声を届ける方法は3つ。分かれ目は
紹介議員が いるか いないか
請願だけが委員会で審査され、本会議で採択か不採択かを議決します。三郷市議会では、陳情の委員会審査は行いません
請願紹介議員あり
委員会で審査し、本会議で議決する
陳情紹介議員なし
議員に配付する(委員会審査は行わない)
要望紹介議員なし
議場で配付し、情報公開コーナーで閲覧できる

あなたの困りごとを、議会が議決するところまで持っていく。

選挙は4年に1度ですが、請願はいつでも出せます。しかも議員でなくても、三郷市民でなくても出せます。これは憲法16条が保障している権利で、市議会は受け取ったら誠実に処理しなければなりません。ただ、出し方によってその後の扱いが大きく変わります。三郷市議会の実際の運用と、条文の根拠、そして詰まりやすいところをまとめました。

Three Doors

3つの入口は、扱いがはっきり違う

「請願」「陳情」「要望」は似た言葉ですが、議会に入ってからの道が別々です。三郷市議会は3つとも様式を用意していて、どれで出すかは提出する側が選びます。ここを知らずに出すと、議決してほしかった話が配付だけで終わることがあります。

 請願陳情要望
紹介議員必要(議員1名以上)不要不要
委員会での審査あり行わない行わない
本会議の議決採択/不採択を決めるなしなし
議員への配付ありあり議場で配付
採択されたあと市長などへ送付し、処理の経過と結果の報告を求めることができる
閲覧会議録に残る情報公開コーナーほかで閲覧できる
根拠憲法16条/請願法/自治法124条・125条/会議規則139〜144条会議規則145条/三郷市議会の運用三郷市議会の運用

三郷市議会は公式サイトで、陳情について「委員会等での審査は行いません」と明記しています(2026年8月29日確認)。会議規則第145条は「請願に適合する陳情書は請願書の例により処理する」と定めていますが、三郷市の実際の運用は配付までです。ここは自治体によって差が大きいところで、近隣市でも扱いが違います。

いちばん大事なところ

紹介議員が1人見つかるかどうかで、あなたの文書の行き先が変わります。

紹介議員がいれば「請願」になり、委員会で審査され、本会議で24人の議員が採択か不採択かを決めます。採択されれば市長などに送られ、その後どう処理したかの報告を求めることもできます。議会の意思として記録に残ります。

紹介議員がいなければ「陳情」になり、三郷市議会では議員に配られて終わります。読まれないという意味ではありませんが、議会として賛成か反対かを決める場には乗りません。

この差は、内容の重要さではなく手続きの差です。同じ文章でも、表紙に議員の署名があるかないかで扱いが分かれます。

Your Right

これは「お願い」ではなく、憲法上の権利です

請願は、行政サービスへの要望とは法的な位置づけが違います。憲法が明文で保障し、受け取る側に処理の義務を課している数少ない仕組みです。条文はすべて e-Gov法令検索の法令APIで逐語確認しました(2026年8月29日)。

日本国憲法第16条

何人も、損害の救済、公務員の罷免、法律、命令又は規則の制定、廃止又は改正その他の事項に関し、平穏に請願する権利を有し、何人も、かかる請願をしたためにいかなる差別待遇も受けない。

「何人も」です。三郷市民に限りません。市外の方も、法人も出せます。年齢の制限もありません。

請願法第5条

この法律に適合する請願は、官公署において、これを受理し誠実に処理しなければならない。

受け取る側の義務です。「検討します」で放置してよい、という制度ではありません。

請願法第6条

何人も、請願をしたためにいかなる差別待遇も受けない。

出したことで不利益を受けない、と法律が書いています。ここを不安に思って出せない方が多いので、あえて載せます。

地方自治法第124条

普通地方公共団体の議会に請願しようとする者は、議員の紹介により請願書を提出しなければならない。

紹介議員が要る、という根拠はここです。議会への請願に固有の要件で、市長あての請願にはこの要件はありません。

地方自治法第125条

普通地方公共団体の議会は、その採択した請願で当該普通地方公共団体の長、教育委員会、選挙管理委員会、人事委員会若しくは公平委員会、公安委員会、労働委員会、農業委員会又は監査委員その他法律に基づく委員会又は委員において措置することが適当と認めるものは、これらの者にこれを送付し、かつ、その請願の処理の経過及び結果の報告を請求することができる。

採択された請願は、送りっぱなしにせず「その後どうなったか」を報告させることができます。採択がゴールではなく、ここからが本番です。議会がこの報告請求を使うかどうかは、議会の判断です。

請願法第2条・第3条

請願は、請願者の氏名(法人の場合はその名称)及び住所(住所のない場合は居所)を記載し、文書でこれをしなければならない。/請願書は、請願の事項を所管する官公署にこれを提出しなければならない。

氏名と住所、そして文書であること。口頭やメールだけでは請願になりません。

How To

実際の出し方

三郷市議会は、請願書・陳情書・要望書それぞれの様式と記入例をWordファイルで公開しています。ゼロから書く必要はありません。

1

様式をダウンロードする

三郷市公式サイトの請願・陳情・要望のページに、請願書・陳情書・要望書の様式(Word)と記入例が置かれています。プリントアウトして使います。

2

中身を書く

会議規則第139条は、邦文を用いて、趣旨・提出年月日・住所を記載し、署名または記名押印することを求めています。趣旨は「何を、どうしてほしいのか」を1〜2行で言い切れる形にしてください。委員会で審査するとき、論点が絞れているほど議論になります。

つまずきやすいところ:市の権限の外のことは、そのままでは実現できません。たとえば県道や国道、URの団地、県立高校は市の所管外です。その場合は「市から県・国へ意見書を出すことを求める」という形にすると、議会が動かせる話になります。市にできること、できないことに分野ごとの権限を整理しています。

3

紹介議員を探す(請願にする場合)

議員1名以上が表紙に署名すれば請願になります。会派を問わず、誰に頼んでも構いません。複数人でも構いません。

紹介議員になるかどうかは議員個人の判断です。断られることもあります。断られたら別の議員に当たって構いませんし、それは失礼なことではありません。私に相談していただいても構いません。内容によってはお引き受けできないこともありますが、その場合も「なぜ引き受けられないか」と「どう書き直せば通りやすいか」はお伝えします。

4

議事課に出す

三郷市議会事務局 議事課(〒341-8501 三郷市花和田648番地1/電話 048-930-7768/ファックス 048-953-1358)。

締切について、市の公式ページに明記はありません。ただし請願は委員会付託と本会議の議決を通るため、定例会の日程に間に合う必要があります。出したい定例会が決まっているなら、議事課に締切を電話で確認してから動くのが確実です。私自身、この締切が公表されていないことは改善すべき点だと考えています。

5

審査を見る

請願は請願文書表として議員に配られ、内容に応じた常任委員会などへ付託されます(会議規則第141条)。委員会は「採択すべき」「不採択とすべき」の意見をつけて議長に報告し(第143条)、本会議で議決されます。

委員会も本会議も傍聴できます。自分の出した請願が、どう議論されて、誰が何と言ったのかを、その場で見ることができます。地方自治法第115条は「議会の会議は、これを公開する」と定めています。

Live Example

いま実際に、1件出ています

令和8年9月定例会に提出された請願

請願第1号
「建設資材供給不安の解消並びに中小建設事業者の事業継続支援制度の創設を求める国への意見書」の提出を求める請願書

この定例会に市長から提出された議案は18件、報告は22件、諮問は2件。そこに市民や団体から出された請願が1件、同じ一覧表に並んでいます。市長が出す議案と、市民が出す請願は、同じ議案番号の体系のなかで、同じ議場で扱われます。

この請願は「国へ意見書を出してほしい」という形です。建設資材の話は市の権限では動かせませんが、市議会が国に意見書を出すことはできます(地方自治法第99条)。市の権限外のことを動かしたいときの、実際の作り方の見本になっています。

この定例会で審議される43件の全一覧は 令和8年9月定例会の議案、ぜんぶ に掲載しています。

Honest Notes

正直に書いておきます

率直な疑問「請願を出しても、どうせ不採択になるのでは」

そういうこともあります。採択されるとは限りません。ただ、不採択でも議事録に残り、各議員がどういう理由でどちらに立ったかが記録されます。これは陳情や要望では起きないことです。

それに、請願は一度で終わる必要もありません。状況が変われば、また出せます。

率直な疑問「議員に頼むのは、コネがある人だけの手段ではないのか」

その懸念は理解できます。実際、紹介議員という要件は、市長あての請願にはなく、議会あての請願にだけあります(地方自治法第124条)。ハードルが1つ多いのは事実です。

ただ、議員は24人います。全員に連絡先があり、会派も分かれています。面識がなくても依頼はできます。コネの問題というより、依頼できると知られていない問題だと考えています。だからこのページを書きました。

このページの弱点「三郷市議会で年間何件の請願・陳情が出て、何件が採択されているのか」

そこを載せられていません。2026年8月29日時点で、私は年度ごとの件数と採択率を一次資料で確認できていません。会議録を1件ずつ拾えば集計できますが、まだやっていません。

推測で「よく採択されています」とも「ほとんど通りません」とも書きません。集計でき次第、このページに追記します。

議員としての立場「議員が『私に相談してください』と書くのは、集票目的ではないのか」

そう見えうることは自覚しています。そのうえで書いています。紹介議員を探せるかどうかが手続き上の分かれ目である以上、「誰に頼めばいいか分からない」で止まる人を減らすことのほうが、制度として大事だと考えるからです。

私以外の議員に頼んでいただいて構いません。むしろ、内容に近い分野の委員会に所属している議員のほうが、審査の場で議論をつくれます。議会の構成を見て選んでいただくのが一番です。

WHOSE BUDGET?

そもそも、誰に言うべきことか

請願を書く前に、一度だけ確かめてほしいことがあります。それは市の権限で動くことなのか。県道の補修、県立高校、URの団地、年金や医療保険の制度——これらは市が決められません。市議会に「やってください」と請願しても、市にできることが無ければ採択しても動きません。

その場合の正しい形は「市から国・県へ意見書を出すことを求める」です。地方自治法第99条は、議会が国会や関係行政庁に意見書を提出できると定めています。実際、令和8年9月定例会に出ている請願第1号もこの形です。分野ごとの権限の切り分けは 市にできること、できないこと にまとめました。

Sources & Notes

作成:鈴木優作(三郷市議会議員/創政MISATO)
誤りを見つけたら教えてください。直して、直した記録を残します。