伝える手段は、揃った。
集める手段は、あるか。
そして、その基準は。
8月13日に市内が冠水し、9月6日から7日にかけても、市は大雨に備えた。
法は市町村に「伝えること」と「集めること」の両方を求めている。2つのテーマで問う。
※ 本ページは鈴木優作個人による情報発信であり、三郷市・三郷市議会の公式見解ではありません。
※ 質問事項・質問の要旨は、議長に提出した通告書の記載そのままです。答弁の要旨は、ライブ配信で公開された本会議の答弁をまとめたものです。正式な記録は会議録です。
※ 9月15日(火)に3番目に登壇しました。会議録速報版は閉会からおよそ1か月後に公開されます。
Theme 1 / 危機管理監に質問
災害時における情報の発信及び収集について
伝える手段は7つある。集める手段は、電話のほかに見当たらない。
本年8月13日、線状降水帯により市内の広い範囲で冠水・浸水が発生した。私のもとにも市民から多数の現地情報が寄せられた。9月6日から7日にかけても、市は大雨に備えて水防体制をとっている。一度きりの話ではない。まず申し上げたいのは、調整池や排水機場をはじめとするこれまでのインフラ整備がなければ被害はさらに大きくなっていたということで、この点は評価している。そのうえで、災害対策基本法に照らして確認したい。法は市町村に「伝えること」と「集めること」の両方を求めている。伝える手段——防災行政無線、放送確認ダイヤル、防災情報架電サービス、緊急速報エリアメール、市公式LINE、Yahoo!防災速報アプリ連携、防災気象情報ダッシュボード——は相当に整備されている。一方で、市民が見た被害を市に伝える仕組みは電話以外に見当たらない。第53条が県への報告を義務づける「当該災害の状況」は、どこから集められるのか。
情報伝達手段の現況と、手段ごとの発報の基準について
通告の要旨:防災行政無線、緊急速報メール、市公式LINE等の手段ごとに、発報を判断する基準を伺う。あわせて、要配慮者への情報伝達をどの手段を想定しているかを伺う。
災害対策基本法第56条第1項は2段構えになっている。予報・警報の「伝達」は「しなければならない」(義務)だが、避難の準備等についての「通知又は警告」は「することができる」(市町村長の判断)。伝えること自体は義務、どこまで踏み込んで呼びかけるかは判断——だとすれば、その判断の基準はどこにあるのか。同条第2項は要配慮者への配慮を求めているが、手段は書かれていない。
危機管理監
防災気象情報サービスの活用の状況について
通告の要旨:本市が導入している防災気象情報サービスの委託内容と、線状降水帯の予測やメッシュ単位の降水予測など、そこから得られる情報の種類を伺う。あわせて、当該情報を配備体制及び避難所開設の判断においてどのように位置づけているかを伺う。
市は防災気象情報のダッシュボードを外部サービスとして導入している。そこから何が得られていて、それが配備体制や避難所開設の判断にどう使われたのか。導入していることと、判断に使えていることは別の話である。
危機管理監
市民からの被害情報を収集する手段について
通告の要旨:災害対策基本法第51条及び第53条を踏まえ、市民から寄せられる冠水・浸水等の被害情報を受け付ける仕組みの現状と、今後の整備に対する考えを伺う。
第51条は情報の収集及び伝達に「努めなければならない」(努力義務)。一方、第53条は災害の状況を県へ「報告しなければならない」(義務)。報告する以上、その元になる状況を把握していなければならない。集める仕組みを問うのは、この義務の履行に直結するからである。
危機管理監
答弁の要旨(危機管理監)
本会議での答弁の要旨です(ライブ配信で公開された内容をまとめたもの)。正式な記録は会議録です。
- 市は複数の伝達手段を確保している。防災行政無線、市ホームページ(インターネット回線)、市公式LINE・緊急速報メール(携帯電話回線)、報道機関を通じて発信するLアラートなど。手段そのものが被災した場合に備えるためでもある(※)
- 洪水による避難指示などは、江戸川・中川の水位の情報や洪水予報をもとに出す。それ以外の災害では、手段ごとの個別具体的な発報の基準は定めていない(※)
- 情報の内容や緊急度、伝達手段が動いているかどうかに応じて、手段を使い分けて発信する(※)
- 災害時の情報は、要配慮者を含むすべての住民に届けなければならないものであり、災害の状況に応じた手段と頻度で、適切な情報発信に努める
※ 伝達手段の中身は、前日(9月14日)の一般質問での危機管理監の答弁と重なるため、私の質問では割愛しました。※の3点は、その答弁の要旨です。
- 株式会社ウェザーニューズが提供する気象情報サービスを利用している
- 雨雲の動き、線状降水帯の状況、台風の進路と暴風域の予測、河川の状況など、専門的な気象情報を確認できる
- どのくらいの雨が降るかを前もってつかみ、警戒配備の判断材料にしている。河川の状況は避難情報を出す判断などに使っている
- 警戒体制などのときは、被害情報を集める情報班を置き、市民からの状況を電話で聞き取って取りまとめ、各部署へ現場の調査を頼んでいる
- 寄せられる情報は、通報した人の感じ方で、同じできごとでも伝わり方が違うことがある。現場の職員からの聞き取りで確かに状況をつかむことが、効率的な対応につながる
- 大規模な災害では、警察・消防・河川管理者などの情報もあわせて取りまとめ、優先度と緊急度に応じて対処する(トリアージ)。災害対策本部を設置し、情報収集の体制をとる
要望(2回目)
2回目は再質問をせず、要望を申し上げました。その要旨です。
- 情報を集める経路を、電話のほかにも広げてほしい。電話では、聞き取り、場所の特定、取りまとめ、各部署への依頼が1件ごとに発生し、受け止められる量が職員の人数で決まってしまう。写真と位置情報が届けば、場所を聞き取る必要も、地図に落とす必要もない。地図の土台になる公開型の地図情報システムは、市にすでにある
- その第一の候補は市公式LINE。ほかの媒体は見に行って初めて届くが、LINEは手元に届けられる。令和6年12月の運用開始から1年半ほどで、およそ8,000人(市民の17〜18人に1人)が登録している。電話はこれからも必要な手段で、そこに、同時に多くを受け止められる経路を加える
- 必要な情報が、必要な地区の方に、探しに行かなくても届く形をつくってほしい。内水による浸水は、河川の水位のように全市共通の基準を引きにくい。だから、地区ごとに測り、地区ごとに判断する形が要る。道路冠水が起きやすい地区には小型の浸水センサがすでにあるが、いまはご自身でウェブサイトを開かないと分からない
- 3月定例会では「居住地域を踏まえた発信を検討中」との答弁があった。それを浸水の情報で具体化し、通知する地区と条件を整理したうえで、地区を絞った試行につなげてほしい
集めた情報は、その日のためだけのものではありません。記録が積み重なれば、次にどこを守るべきかが見えてきます。集めることは、次の災害に備える土台をつくることでもあります。
Theme 2 / 企画政策部長に質問
利便性の向上に向けた外部サービスの活用について
広げるなら、同時にルールを整える。順番ではなく、セットで。
テーマ1で挙げた仕組みは、そのほとんどが市の庁内ではなく外部の事業者が運用するサーバー上で動いている。市公式LINEはLINEヤフー株式会社のサービスであり、防災気象情報のダッシュボードも市のドメインの外にある。これは問題ではなく、むしろ国の方針である。政府は平成30年の「政府情報システムにおけるクラウドサービスの利用に係る基本方針」でクラウド・バイ・デフォルト原則を掲げ、基幹業務システムの移行先であるガバメントクラウドも実体は民間事業者のクラウドサービスである。私は外部サービスの活用を積極的に進めるべきだと考えている。ただし活用を広げることは、統制のルールを整えることとセットでなければならない。組織として契約したサービスは契約と規程で担保されるが、職員が日々の業務で個別に使う場面——オンライン会議の録画、資料の共同編集、文字起こしや翻訳——も当然に生じる。活用を進めるほど、この場面は増える。
本市における外部サービスの活用状況と、その効果について
通告の要旨:現在利用している外部クラウドサービスの範囲と、それによって業務や市民サービスにどのような効果が生じているかを伺う。あわせて、国が示すクラウド・バイ・デフォルト原則を踏まえた今後の活用の方向性を伺う。
まず現在地を確かめたい。どのサービスを、どの範囲で使っているのか。そして使ったことで何が良くなったのか。効果が語れないまま増やしていくことにはならないか。
企画政策部長
職員が業務で利用できるツールの整備状況について
通告の要旨:オンライン会議の記録や資料の共同編集など、日々の業務で外部サービスを用いる場面において、利用できるツールがどの程度整備されているか。利用に許可を要するか、要する場合の手続は現場が使いやすいものとなっているかを伺う。
個人情報の保護に関する法律第66条第1項は市に安全管理の義務を課し、同条第2項第1号によりその義務は委託を受けた者にも準用される。第67条は従事者に対し、業務上知り得た個人情報をみだりに他人に知らせてはならないと定める。組織として契約したサービスなら契約と規程で担保できる。問題は、職員が個別に使う場面をどう扱うかである。禁止するだけでは現場が止まり、放置すれば管理が効かない。
企画政策部長
活用を広げるにあたって必要となる環境整備について
通告の要旨:本市の情報セキュリティポリシーにおける外部サービス利用に関する規定の状況と、活用を広げるために整備すべきルール、体制及び職員研修についての見解を伺う。
総務省の「地方公共団体における情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」は、地方自治法第245条の4に基づく技術的助言として示されている。法律による義務づけではなく助言であり、どう取り入れるかは市の判断になる。だからこそ市の見解を聞きたい。
企画政策部長
答弁の要旨(企画政策部長)
本会議での答弁の要旨です(ライブ配信で公開された内容をまとめたもの)。正式な記録は会議録です。
- 市はDXの推進を積極的に進めている
- 市民向けには、市ホームページ、LINE・X・FacebookなどのSNSでの発信、公開型GIS、電子申請、自動翻訳、遠隔相談など、多くのサービスで利便性の向上を図っている
- 今後のクラウド化は、国の基本方針、先進自治体の事例、技術の動向を見ながら、適切に使う方法をさらに研究する
- 職員向けには、基幹業務システム、業務を自動化するRPAやAI-OCR、Web会議システム、チャットツールなどを運用している
- 個人情報を含む文書の文字起こしやAI-OCRは、LGWAN環境の上のサービスを使うことで情報を守り、あわせて職員が使うときの手続きを簡素化している
- 情報システムや外部サービスのセキュリティ対策は、基本的に総務省のガイドラインに準拠して運用し、三郷市情報セキュリティポリシーにもとづく対策基準に定めている
- 安全性を確保しながら、利用手続きの簡略化など、現場の職員が迷わず使える仕組みを検討する。職員研修などを通じて、業務の効率化と市民サービスの向上をめざす
要望(2回目)
- 外部サービスを効果的に使うための運用方針とガイドラインを整え、職員が安心して新しい技術を使える環境にしてほしい。3月定例会で申し上げた運用ルールの、その先の話として
- 組織として新しい技術を入れにくい状態が続くと、使える道具と使いたい道具のあいだに差が生まれる。差が開くほど、市の情報が市のセキュリティの及ばない場所を通る可能性は高くなる。「危ないから入れない」という判断は、一見安全に見えて、実際にはセキュリティを弱くしてしまう。守るべきは、置き場所ではなく中身
- 職員の手元にそろえてほしいのは、使えるサービス、入力してよい情報の範囲、申請と承認の手順、相談先の4つ。あわせて、見直しを担う部署と、これからの進め方をはっきりさせてほしい
- 市のDX推進ビジョンにも、効率性や利便性をできる限り損なわないようにしながら、セキュリティ対策を徹底すると書かれている。申し上げたいことは同じ
禁止するためのルールではなく、使うためのルールを。
むすび
- 求めるのは、公助に頼りきる防災ではない。まず自分の身は自分で守り、自分だけで立ち行かないときは共助のネットワークで解決する。そのうえで、公助がより的確に、より速く動ける体制を築く。そのためにデジタルの力がある
- 市がこれまで整えてきたのは、発信のための道具。そこに「受け取る」役割を加えれば、災害のときだけでなく、ふだんから市民とやり取りできる道になる
調整池も、排水機場も、防災行政無線も、公開型の地図情報システムも、未来を見据えて積み上げられてきたものです。その一つひとつに敬意を表し、以上を要望しました。
Words
この質問に出てくることば
通告に出てくる専門的なことばを、1語1ページで説明しています。
8月13日の大雨——三郷市が出した情報のまとめ
テーマ1の出発点。罹災証明・災害見舞金・通行止めまで市の公表ページへのリンクつき
冠水・浸水した場所を、教えてください
水に浸かった場所、水が引かない場所を集めています。写真がなくても、場所とひとことだけで送れます
令和8年9月定例会の議案、ぜんぶ
同じ定例会で審議される43件の全一覧。議案18・報告22・諮問2・請願1
市議会を自分の目で確かめる4つの方法
傍聴・ライブ配信・録画配信・会議録。本会議は議長の許可なしで傍聴できます
令和8年6月定例会 一般質問のまとめ
前回の質問と答弁。広報AI活用・行政の透明性・子育て支援の3テーマ
三郷市議会 議会中継(ライブ・録画配信)
本会議の映像をご覧いただけます(外部サイト)。録画は会議終了後5日を目安に配信
聞くべきことが
抜けていたら
質問の前に教えてください。間に合う範囲で当日の組み立てに反映します。
大雨で困ったことがあった方のお話も、お待ちしています。