2つの方式は、お金の出方が違う
乗り合いの足(デマンド交通)は、車両と運転手と予約の仕組みを市が用意する方式。利用が少なくても費用はほぼ固定で、1回あたりの公費は利用回数で決まります。コミュニティバス1系統の運営費は全国的に年3,000万〜1億円が目安です。
タクシー券は、既存のタクシーを使い、1回ごとに市が補助する方式。利用した分だけ費用が出るので、年間の公費は対象人数と利用率で決まります。
前提を、あなたが動かしてください
起点は75歳以上22,566人と、コミュニティバスの1人520円。どちらの方式も、市が決められます。
車両・運転手・予約システム。全国的な目安は3,000万〜1億円。初期値は中間の6,000万円。
年300日運行として。利用が少ないほど、1回あたりの公費は跳ね上がります。
免許を返した人、バス停まで歩けない人。実際の申請率は制度設計で大きく変わります。
通院と買い物で月2回、という置き方。
初乗り程度の500円から、1,000円まで。
—
そもそも、誰の予算か
路線バスを走らせるのは民間の事業者、コミュニティバスと乗り合いの足は市。タクシー券も市の単独事業になります。
| 負担するのは | 割合・立場 | 性格 |
|---|---|---|
| 路線バス | 民間事業者 | 市は運行委託・補助で関わる(令和8年度6,796万円) |
| コミュニティバス | 市 | 市が決めて事業者に委託。1人520円の公費 |
| 乗り合いの足 | 市(事業者と) | 地域公共交通計画に位置づければ国の補助に乗る |
| タクシー券 | 市 | 市の単独事業。対象と補助額を要綱で決める |
国の補助は「計画に載っている事業」にしか付きません。思いつきで走らせないことが、続けるための条件です。
この試算で、いちばん揺れやすいところ
都合の悪い前提こそ、先に書いておきます。
- 運営費の幅は全国の一般値です。三郷で実際に見積もれば、車両の台数と運行時間で大きく変わります。
- 利用回数は仮定です。利用が伸びなければ1回あたりの公費は跳ね上がり、伸びれば下がります。実証運行で確かめるしかありません。
- タクシー券の利用率は制度設計しだいです。対象を「免許返納者」に絞るか「75歳以上全員」にするかで、人数は数倍変わります。
- いまの路線バスが減ったときの影響は入れていません。新しい足がいまの路線の客を奪えば、路線バスの側がさらに減る可能性があります。
したがって、この数字は「予測」ではありません。「前提がこうなら、お金はこの方向に動く」という関係の確認です。
私の考え
数字を並べて分かるのは、「どちらが安いか」は利用者の数で逆転するということです。使う人が多ければ乗り合いの足が安く、少なければタクシー券のほうが安い。
だから私は、三郷中央を起点に一路線から試すと言っています。まず実証運行で利用回数を確かめ、その数字で方式を決める。いきなり全域ではやらない。
そして、無料化より先に路線を残す。乗れるバスがあって初めて、運賃の議論に意味が出ます。詳しくはなぜバスは減るのかに書きました。
あわせて読む
・先輩世代のシミュレーション — ほかの候補と、準備中のテーマ
・介護保険料は、どこまで上がるのか — 給付費と保険料の関係
・市にできること、できないこと — 介護・医療・福祉で市が動かせる範囲
・三郷市の財政を家計に置きかえる — 全会計896.2億円のなかでの位置
Sources & Assumptions
- 75歳以上22,566人(15.9%)、65歳以上38,552人、高齢化率27.1%: 住民基本台帳(令和7年4月1日)。
- 路線バス運行委託 67,960千円: 令和8年度当初予算。コミュニティバス1人あたり公費520円: なぜバスは減るのかの集計。
- コミュニティバス1系統の運営費の目安(年3,000万〜1億円): 全国の自治体事例の一般値で、三郷市の見積もりではありません。
- 利用回数・利用率・補助額はすべて仮置きです。実証運行の数字に置き換えるべき箇所です。
数字の誤りや、前提の置き方へのご指摘をお待ちしています。