市の会計を通るのは、納付金です
後期高齢者医療の保険者は市ではなく、県の広域連合です。市がやるのは保険料の徴収と、広域連合への納付。だから市の特別会計27.4億円の大半は、広域連合納付金27.1億円です。
財源は法律で、公費5割(国4・県1・市1)、現役世代からの支援金4割、後期高齢者の保険料1割。市が決められる余地は、ほぼありません。だからこそ、伸びを先に見ておく必要があります。
前提を、あなたが動かしてください
起点は実額の27.1億円。伸び率と、支える側の人口の変化だけを動かします。
令和8年度は+15.5%でしたが、これは1年の数字です。初期値は控えめに+5%にしています。
三郷市の人口は令和4年をピークに減少。日本人は直近1年で630人減。初期値は−0.5%。
—
そもそも、誰の予算か
この制度で市が決められることは、ほとんどありません。だから「誰の予算か」を知っておくことが、いちばんの備えです。
| 負担するのは | 割合・立場 | 性格 |
|---|---|---|
| 国 | 公費の4/5(全体の4割) | 法定 |
| 都道府県 | 公費の1/5(全体の1割) | 法定。保険者は県の広域連合 |
| 市 | 公費の1/5(全体の1割) | 一般会計から。市が決められるのは徴収と窓口だけ |
| 現役世代 | 支援金(全体の4割) | 各医療保険から。全国で調整 |
| 後期高齢者 | 保険料(全体の1割) | 広域連合が2年ごとに決める |
「支える側1人あたり」は、この納付金を65歳未満の人口で割った目安です。実際の負担は税と保険料を通じて全国で薄く広く分担されます。
この試算で、いちばん揺れやすいところ
都合の悪い前提こそ、先に書いておきます。
- +15.5%は1年の数字で、これを10年延ばすのは乱暴です。初期値を+5%にしたのはそのためで、本当の伸びは広域連合の推計にあたる必要があります。
- 「支える側1人あたり」の分母は、65歳未満の人口を総人口−65歳以上で置いた粗い数字です。0〜14歳を含んでいます。
- 市の会計を通る納付金は、市の一般財源とは違います。大半は保険料と公費の通り道で、市の持ち出しは公費の1/5の部分です。
- 後期高齢者の割合が令和12年度でピークという推計を、伸び率に反映していません。ピーク後は伸びが鈍る可能性があります。
したがって、この数字は「予測」ではありません。「前提がこうなら、お金はこの方向に動く」という関係の確認です。
私の考え
この分野は、市にできることが本当に少ない。保険者は県の広域連合、財源は法律、保険料は2年ごとに広域連合が決める。
それでも数字を出すのは、市の予算の中で「動かせないお金」がどれだけ増えていくかを知っておかないと、動かせるお金の議論ができないからです。介護と後期高齢者医療の2会計で、もう140.5億円(令和7年度決算)。
市にできるのは、健診と保健指導で重くなる前に気づくこと。それは健康寿命をのばす投資の話につながります。
あわせて読む
・先輩世代のシミュレーション — ほかの候補と、準備中のテーマ
・介護保険料は、どこまで上がるのか — 給付費と保険料の関係
・市にできること、できないこと — 介護・医療・福祉で市が動かせる範囲
・三郷市の財政を家計に置きかえる — 全会計896.2億円のなかでの位置
Sources & Assumptions
- 後期高齢者医療特別会計 令和8年度27.4億円(+15.5%)、広域連合納付金27.1億円: 令和8年度当初予算。
- 後期高齢者比率 令和6年度56.2%→令和8年度59.6%→令和12年度62.9%(ピーク): 市の推計資料。
- 財源構成(公費5割=国4・県1・市1、支援金4割、保険料1割): 高齢者の医療の確保に関する法律。
- 人口142,152人・65歳以上38,552人: 住民基本台帳(令和7年)。65歳未満の人口は差し引きの粗い値です。
数字の誤りや、前提の置き方へのご指摘をお待ちしています。