Scope

家庭に、
どこまで求めるのか。

朝の旗振り当番。長期休みのお弁当。持ち物の用意。見守りの当番。家庭がやることは、年々増えています。

減らせ、という話ではありません。やれなかったときに、子どもが損をしない形にする。それが、この文章で考えたいことです。

What is happening

「ご家庭のご協力を」が、
積み上がっている。

一つひとつは、小さなお願いです。朝30分の旗振り。長期休みのお弁当。指定の袋を手づくりで。連絡帳の確認。地域の見守り当番。 どれも「協力」という言葉で来ますが、断る選択肢は、実際にはほとんどありません。

そして、これらは足し算でしか増えません。やめる決定をした人が、どこにもいないからです。 誰かが決めて増やしたわけではなく、「前からやっているから」で続いているものが、かなりあります。

57.0%

放課後児童クラブのうち、長期休みに昼食の提供が「ない」クラブの割合(全国25,635クラブのうち14,609クラブ・こども家庭庁 令和6年)。 残りの43.0%は提供があります。やり方が無いのではなく、やっている所とやっていない所があるということです。

Not an order

自助・共助・公助は、
順番の話ではない。

「まず自助。それでも無理なら公助」——この読み方が、家庭を追い込みます。

補完性の原則が言っているのは、できることは身近な単位で担い、担えないことは上が引き受けるということです。 順番に耐えろ、という意味ではありません。誰が、どこまで担うのか に、国・県・市・自治会・個人の5層で整理しています。

このページはその中の、家庭・学校・行政の3者に絞った話です。子育てと教育の場面では、ここがいちばん混ざりやすいからです。

Four questions

誰が担うべきかを、
4つの物差しで決める。

「家庭がやるべきだ」「行政がやるべきだ」は、どちらも結論から入っています。先に物差しを決めておけば、個別の話で揉めません。

  • 01
    それは、選べるか「任意です」と書いてあっても、断ると子どもが困る、周りの目が気になる——それは事実上の義務です。選べないものを「自主的な協力」と呼ばないこと。ここを正直にするだけで、話がまっすぐになります。
  • 02
    できない家庭が出たとき、その子はどうなるかひとり親、共働き、病気、日本語が第一言語でない、家族の介護をしている。担えない事情は、その家庭の努力不足ではありません。「大半の家庭はできている」で設計すると、できなかった家の子どもだけが損をします。
  • 03
    代われる人は、いるか同じことを、お金や人手で代われるなら、そこには選択肢があります。代われないなら、それは家庭に固定された負担です。「代われるのに、代えていないだけ」なのか、「代わりようがない」のかを分ける。
  • 04
    その費用は、誰が持っているかお金だけではありません。時間も費用です。平日の朝に30分立つ、長期休みのあいだ毎日つくる。それを金額に置き換えたことがあるか。持っている人が誰かをはっきりさせないと、「タダでできること」として積み上がります。
Applied

三つの場面に、
当てはめてみる。

物差しは、使ってはじめて役に立ちます。よくある3つで試します。

通学路の見守り

朝の旗振り当番
選べるか
当番表が回ってくる形なら、事実上は義務に近い
できない家庭は
早朝勤務、夜勤明け、乳児がいる家では代われる人がいない
代われる人は
シルバー人材・見守り員・地域のボランティア。実際、下校時はそうしている地域がある
費用は
保護者の時間。金額に換算されたことは、ほとんどない

朝と夕方で担い手が違うなら、その差は「必要だから」ではなく「たまたま」かもしれません。安全の水準を落とさずに、誰が立つかを組み替えられる場面です。

長期休みの昼食

夏休みの学童のお弁当
選べるか
持たせなければ、その子が食べられない。選べない
できない家庭は
朝の30分がとれない家がある。毎日、40日近く続く
代われる人は
給食センターの活用、事業所での手配。全国で実施している自治体がある
費用は
保護者の時間と材料費。夏場は食中毒のリスクも家庭が負う

こども家庭庁の調べでは、全国25,635クラブのうち昼食提供があるのは11,026クラブ(43.0%)。残りの57.0%は提供がありません。やり方が無いのではなく、やっている所とやっていない所があるということです。

部活動

休日の指導と引率
選べるか
先生にとっても、保護者にとっても、断りにくい空気があった
できない家庭は
送迎や当番を担えない家の子が、続けにくくなる
代われる人は
地域の指導者。国が地域移行の枠組みを進めている
費用は
指導者への対価をどこから出すかが、まだ決まりきっていない

学校から外に出せば解決、ではありません。受け皿と、指導者に払うお金を用意しないと、負担が学校から家庭と地域に移るだけになります。

Scope

私が考える、3つのスコープ。

家庭やりたい人がやる。やれない人が責められないしつけも、生活習慣も、家庭にしかできないことはあります。ただし「協力」は、やれる人がやれる範囲で足すものであって、やれない家を追い込む仕組みにしてはいけません。
学校授業と、学校の中の安全先生が授業に向き合える時間を守ることが、いちばん子どもに返ります。学校を何でも屋にすると、本業が痩せます。外に出すときは、受け皿と費用をセットで用意する。
行政やれない家庭が出ることを、前提に設計する大半の家庭ができているかどうかは、判断の基準になりません。できなかった家の子どもが、それだけで不利にならないか。そこを埋めるのが公の仕事です。

この3つは、押し付け合いの線引きではありません。 どこが抜けると子どもに届かなくなるかを、先に決めておくためのものです。

What I don't know yet

三郷は、どうなっているか。
まだ数字を持っていません。

ここまで書いてきましたが、三郷市の実際を、私はまだ数字で把握していません。 学童の長期休みに昼食の提供があるのか。通学路の見守りを、どこの誰が何人で担っているのか。 保護者に回っている当番が、地区によってどれだけ違うのか。

調べていないことを、調べたように書かない。これは、そのための断り書きです。

12月定例会に向けて、次の3つを確かめます。確かめたら、数字と出典を添えて、このページに追記します。

  • 01
    学童の昼食市内の放課後児童クラブで、長期休みに昼食の提供があるクラブはいくつか。無い場合、給食センターを使う余地はあるか。
  • 02
    通学路の見守り朝と下校で、担い手がどう違うか。保護者の当番が学校ごとにどれだけ差があるか。
  • 03
    やめた決定は、あるかこの10年で「家庭にお願いすることをやめた」例はあるか。増やす決定と同じだけ、やめる決定がされているか。

家庭を、
最後の砦にしない。

頑張れる家庭が頑張ること自体は、悪いことではありません。 問題は、頑張れなかった家の子どもが、それだけで不利になる設計のほうです。 そこを埋めるのが、行政の仕事だと考えています。

Sources & Notes

作成:鈴木優作(三郷市議会議員/創政MISATO)
違っているところがあれば教えてください。直して、直した記録を残します。