「赤字」って、
なに?
おこづかいが、1か月に1,000円。使ったのが1,200円。200円足りない。これが赤字です。
市のお金にも「赤字」という言葉があります。ただし意味は、もっとせまい。 1年のおわりに、入ったお金より出したお金が多くて、足りない状態。 国は「実質赤字比率」という物差しで、これを毎年たしかめています。
三郷市は、黒字です。令和6年度、足りていました。 国民健康保険や介護保険など、ほかの財布を全部足しても黒字でした。
令和6年度のお金を、
おこづかいにしてみる。
三郷市は1年に、600億円くらいのお金を動かします。大きすぎて分かりにくいので、1億円を1円にします。
入ってくるお金
出ていくお金
入ってくるのが305円。出ていくのが307円。2円、足りません。 人のお給料、子どもやお年寄りへの支援、借金の返済、水道や保険への仕送り。 毎年かならず出ていくお金が、毎年かならず入るお金をこえました。
この2円は、貯金と、その年だけ入ったお金でうめました。だから1年のおわりには足りていた。 さっきの「赤字」にはならなかった。でも、毎年こえていたら、貯金はへっていきます。
(基金)
(市債)
貯金は55円。借金は420円。借金のほうがずっと多い。これだけ見ると、こわくなります。 でも借金には、あとで書く事情があります。
令和6年度決算(普通会計)。1億円を1円に換算。くわしい数字は 三郷市の財政を知る(そちらは1億円を1万円に換算しています)。
じゃあ、なんで
「赤字」と言われるの?
「赤字に見えるもの」が、3つあります。どれも本当のことです。そして、どれも「1年のおわりに足りなかった」という意味の赤字とは別のものです。
- 01毎年出ていくお金が、毎年入るお金をこえたさっきの「2円足りない」です。正式には経常収支比率が100.7%。100%をこえると、自由に使えるお金が残りません。「まずい」と言われるなら、いちばん本当に近いのはこれです。
- 02予算が、19年ぶりにへった令和8年度の予算は617円。前の年より7円へりました。「へった=苦しい」に見えます。でも税金は6.6%ふえています。へったのは、やることをしぼったからです。
- 03借金が、ふえている420円が、令和7年度末には440円になる見込みです。ふえているのは本当。これは学校や道路をつくったお金です。次に説明します。
借金は、
悪いこと?
学校は、50年使います。いま住んでいる人だけで全部はらうと、あとから使う人はタダになります。 だから借りて、長い年数でみんなが少しずつはらう。市の借金は、そういう仕組みです。
しかも法律が、借りていい場面を5つに限っています(地方財政法5条)。ふだんの生活費は、その5つに入りません。 学校・道路・消防などをつくるとき、災害のとき、水道などの事業、借りかえ、出資や貸付。この5つです。
もうひとつ。借金の3分の1(142円)は、国が「あとで返すから」と市に借りさせているものです (臨時財政対策債といいます)。市が何かを建てたお金ではありません。
では、ちゃんと返せているのか。それを見るのが、次の4つのテストです。
国の4つのテスト。
全部、合格。
国は法律で、市が「倒れそうかどうか」を4つの物差しで毎年テストしています。 一定の線をこえるとイエローカード(立て直しの計画をつくらなければならない)。三郷市の結果です。
どれも、イエローカードの線までずっと遠いところにいます。 このテストが測っているのは「倒れないか」。答えは、倒れません。
令和6年度決算。財政健全化法にもとづき市が公表している数値。「イエローカード」=早期健全化基準(財政健全化計画の策定が義務になる線)。令和7年度の結果は、この9月定例会に報告されています(報告第24号)。
じゃあ、
心配はないの?
あります。テストは「倒れないか」を測るもので、「元気に動けるか」は測っていません。心配は2つです。
① 自由に使えるお金が、消えた。入ってくるお金から、かならず出ていくお金を引いた「余り」です。
毎年きまって入るお金 − 毎年きまって出ていくお金(億円)。令和2〜6年度の決算。
令和2年度は19円あった余りが、令和6年度は−2円。 新しいことをやろうとしても、そのお金がない。これが「余裕がない」の中身です。
② 貯金箱が、へっている。令和4年度の72円をいちばん高いところに、令和6年度は55円、令和7年度末には47円の見込み。 3年で25円ほどへる計算です。
それから、似た大きさのまちとくらべると、借金は重いほうです。 これから返すぶんの重さ(将来負担比率)は三郷が43.6%、似たまちの平均は0.0%。 平均が0なのは、似たまちでは、これから返すぶんを手もとのお金でまかなえているところが多いからです。 この比率は、まかなえていると数字が出ません(0より下にならない)。だから平均がちょうど0になっています。 返しにくさ(実質公債費比率)も7.8%対4.7%で、三郷のほうが高い。 いっぽうで、建物や道路の古さは60.0%対65.6%で、三郷のほうが新しいほうです。古い施設を、計画的に直してきたからです。
似た大きさのまち=国が決めた「類似団体」(人口と産業のかたちが近いまちのグループ)。この比較は令和5年度の資料によります。
こたえ。
物差しは、2つある。
「赤字」という一言だけ見ると、どちらの話をしているのか分からなくなります。 倒れないか。動けるか。この2つは、べつの物差しです。
基準だけを見て安心するのも、比較だけを見て「まずい」と言うのも、どちらも片方しか見ていません。 両方とも本当です。だから、両方いっしょに書きました。
余裕は、
つくれる。
「余裕がない」で終わりにはしません。出口があります。 そして先に書いておくと、へらすのは人ではありません。仕事のほうです。
仕事が多いなら人をふやせばいい、と思うかもしれません。ところが、ふやす道はせまい。 職員の数は条例で決まっていて、ふやすにも議会の議決がいる。 お給料は毎年きまって出ていくお金なので、ふやせばさっきの「2円足りない」が大きくなる。 人は、ふやしたくてもふやせない仕組みの中にいます。
人をふやせないなら、仕事をへらす。ここに出口があります。 へらせる仕事は、はっきりしています。窓口で同じ説明をくり返す。紙を印刷して回す。 会議の記録を人が書き起こす。同じことを別の書類に書き写す。 この「手間」を、テクノロジー、とくにAIが先に引き受けます。 新しく何かを建てる話ではなく、すでにある道具でできることです。
残るのは、人にしかできない仕事です。判断すること。困っている人と向き合うこと。現場に行くこと。 手間がへったぶんは、人をへらすのではなく、対面と現場と、残業をへらすほうに回します。 働く人にとって、これは仕事がなくなる話ではなく、仕事が本来の形にもどる話です。
お金の話にもどります。三郷市は、税金がふえると、そのぶん国からくるお金がへる仕組みの中にいます。 税金が1億円ふえても、手もとに残るのは2,500万円。 いっぽうで、出ていくお金を1億円へらすと、まるごと1億円が残ります。 同じ1億円で、効きかたが4倍ちがう。手間と紙と書き写しにかかっていたお金は、まるごと「自由に使えるお金」にもどります。
道具を入れる前に、安全に使う設計を先に決めます。最後に誰が決めたのかを、必ず残す。 それが守られていれば、「余裕がない」は、動かせる問題です。
職員数と条例・議決の関係は 人事のしくみ。「税金1億円→手もと2,500万円」は地方交付税法第14条第2項の仕組みで、くわしくは 三郷市の財政を知る。テクノロジーの考え方は テクノロジーで、行政はここまで と ゼロトラスト行政。