By-elections · Public Offices Election Act
市議が他の選挙に出ると、その議席はどうなるのか
4人欠けても、
選挙はない。
三郷市議会の定数は24。公職選挙法は、市町村議会の補欠選挙を「欠員が定数の6分の1を超えたとき」と定めています。24の6分の1は4——つまり4人欠けても補欠選挙は行われません。空いた議席は、次の一般選挙まで空いたままになりえます。
5人以上
単独の補選が発動する欠員数(定数24)
10日前
同時補選ができる期限(告示日から逆算)
2029年7月
次の三郷市議会議員選挙(任期満了 8/10)

空いた議席は、誰の民意だったのか。

市議会議員が市長選や県議選に立候補すると、その議席は空きます。ではその空席は、いつ埋まるのか——答えは「辞めるタイミング次第」です。公職選挙法の条文にそう書かれています。制度を正確に読み解きます。

Two Ways Out

市議が他の選挙に出るには、2つの道がある

どちらを選ぶかで、議席が埋まるかどうかが変わります。まず制度の入口から。

A
立候補して、自動失職する

公職選挙法は「公務員は在職中、公職の候補者となることができない」と定めています(第89条第1項)。市議会議員もこの公務員に含まれます。
それでも立候補の届出をすると、「その届出の日に当該公務員たることを辞したものとみなす」(第90条)。つまり告示日に、自動的に議員でなくなる——これが自動失職です。

※自分の任期満了による選挙(市議選)に出る場合は例外で、在職のまま立候補できます(第89条第2項)。
B
告示の前に、自分で辞職する

告示日を待たず、先に辞職願を出して議員を辞める方法です。辞職した日に欠員が生じます。
選んだ道はどちらも「議席が空く」という結果に見えます。しかし——空席が埋まるかどうかは、この差で決まります。

※辞職には、会期中は議会の許可、閉会中は議長の許可が必要です(地方自治法第126条)。
When It Triggers

補欠選挙は、そう簡単には行われない

公職選挙法 第百十三条第一項第六号
市町村の議会の議員の場合には、…当該選挙区における議員の定数(選挙区がないときは、議員の定数)の六分の一を超えるに至つたとき

この一文が、すべてを決めています。三郷市議会の定数は24。その6分の1は4。「4を超える」ですから——

欠員 1〜4人
補欠選挙は行われない
欠員 5人以上
補欠選挙が行われる

1人が抜けても、2人が抜けても、4人が抜けても、選挙はありません。その議席に託された民意は、次の一般選挙まで議会に届かないことになります。三郷市議会の次の一般選挙は2029年7月(任期満了は2029年8月10日)。2026年に議席が空けば、約3年間です。

The Exception

ただし、抜け道がある——「同時選挙」

1/6に届かなくても補選ができる例外が、同じ条文の第3項に置かれています。

公職選挙法 第百十三条第三項第三号
地方公共団体の議会の議員の欠員の数が第一項各号に該当しなくても、…同一の地方公共団体の他の選挙が行われるときは、…その選挙と同時に補欠選挙を行う

市長選が行われるなら、その同じ日に市議の補欠選挙もできる。1人の欠員でも構いません。有権者は市長と市議を同じ日に選べ、空席は埋まります。
——ところが、この例外にはさらに条件が付いています。

同条第三項 ただし書き
ただし、…(市町村の議会の議員の選挙については、当該市町村の他の選挙の期日の告示の日前十日以内に)…選挙管理委員会が…通知を受けたときは、この限りでない

これが「10日ルール」です。欠員が生じたことが選挙管理委員会に伝わるのが、他の選挙の告示日の10日前を切ってからだと——同時に補欠選挙を行うことはできません。準備の時間が足りないからです。

Applied to Misato

三郷に当てはめると、分岐点は10月15日

三郷市長選挙は、告示 2026年10月25日/投開票 11月1日(三郷市選挙管理委員会発表)。ここから逆算します。

10月15日
より前
辞職して、告示10日前より前に欠員が確定

告示日の10日前(10月15日)より前に欠員が選管に伝わっていれば、11月1日の市長選と同じ日に、市議の補欠選挙が行われます。有権者は空いた議席を自分たちで埋められる。民意が、その場で回復します。

10月25日
告示日
立候補の届出で、自動失職

告示日に届け出れば、その日に自動失職します。しかし10日ルールに引っかかるため、同時の補欠選挙は行われません。欠員が4人以下なら単独の補選もない——議席は空いたまま、次の一般選挙(2029年7月)を待つことになります。

同じ「議席が空く」でも、結果はまるで違う

どちらも法律に則った、まったく適法な選択です。制度がそう作られている、というだけの話です。
ただ、有権者の側から見ると違いは明確です。10月15日より前に辞職すれば、その議席は11月1日に有権者の手で埋まる。告示日まで在職すれば、議席は約3年間空いたままになりえる。——同じ「1議席」の重みが、日付の違いだけで変わってしまいます。

My View

議席は、議員のものではありません

24分の1は、誰かの1票の集まりです

私は1,703票をいただいて、この議席にいます。この議席は私の所有物ではなく、投票してくださった方々の意思を議会に運ぶための「席」です。だから、その席は、できるだけ早く次の人に渡したいと考えています。

誰がどの選挙に挑戦するかは、その人の自由です。挑戦そのものは、民主主義にとって健全なことだと思います。問われるのは、挑戦するときに「自分の議席に託された民意」をどう扱うか——その一点だと思っています。

制度としても、考える余地がある

「6分の1を超えるまで補選をしない」というルールには、費用や事務負担という合理性があります。選挙にはお金がかかります(選挙コストの試算)。ただし「補選をやると費用がかかる」と「やらなければ費用が浮く」は同じことではありません。やる場合・やらない場合・空席のままの場合の額を並べたのが補欠選挙をやる費用、やらない費用です。
それでも、定数24で4人分の民意が3年近く不在でも選挙をしないという設計が、いまの時代に最適なのかどうか。これは国の法律なので市議会で変えられるものではありませんが、知られていないこと自体が問題だと思うので、ここに整理しました。

関連:三郷市議会議員選挙選挙のルール三郷市長選挙2026議会のしくみ地方議員の職責

本ページは「鈴木優作調べ」です。公職選挙法・地方自治法の条文をもとに個人でまとめたもので、市・議会・会派の公式見解ではありません。実際のご判断は、必ず三郷市選挙管理委員会など公式情報をご確認ください。

Sources & Notes

作成:鈴木優作(三郷市議会議員/創政MISATO)
議席は、託された民意の置き場所。