市議が他の選挙に出るには、2つの道がある
どちらを選ぶかで、議席が埋まるかどうかが変わります。まず制度の入口から。
公職選挙法は「公務員は在職中、公職の候補者となることができない」と定めています(第89条第1項)。市議会議員もこの公務員に含まれます。
それでも立候補の届出をすると、「その届出の日に当該公務員たることを辞したものとみなす」(第90条)。つまり告示日に、自動的に議員でなくなる——これが自動失職です。
告示日を待たず、先に辞職願を出して議員を辞める方法です。辞職した日に欠員が生じます。
選んだ道はどちらも「議席が空く」という結果に見えます。しかし——空席が埋まるかどうかは、この差で決まります。
補欠選挙は、そう簡単には行われない
この一文が、すべてを決めています。三郷市議会の定数は24。その6分の1は4。「4を超える」ですから——
1人が抜けても、2人が抜けても、4人が抜けても、選挙はありません。その議席に託された民意は、次の一般選挙まで議会に届かないことになります。三郷市議会の次の一般選挙は2029年7月(任期満了は2029年8月10日)。2026年に議席が空けば、約3年間です。
ただし、抜け道がある——「同時選挙」
1/6に届かなくても補選ができる例外が、同じ条文の第3項に置かれています。
市長選が行われるなら、その同じ日に市議の補欠選挙もできる。1人の欠員でも構いません。有権者は市長と市議を同じ日に選べ、空席は埋まります。
——ところが、この例外にはさらに条件が付いています。
これが「10日ルール」です。欠員が生じたことが選挙管理委員会に伝わるのが、他の選挙の告示日の10日前を切ってからだと——同時に補欠選挙を行うことはできません。準備の時間が足りないからです。
三郷に当てはめると、分岐点は10月15日
三郷市長選挙は、告示 2026年10月25日/投開票 11月1日(三郷市選挙管理委員会発表)。ここから逆算します。
より前
告示日の10日前(10月15日)より前に欠員が選管に伝わっていれば、11月1日の市長選と同じ日に、市議の補欠選挙が行われます。有権者は空いた議席を自分たちで埋められる。民意が、その場で回復します。
告示日
告示日に届け出れば、その日に自動失職します。しかし10日ルールに引っかかるため、同時の補欠選挙は行われません。欠員が4人以下なら単独の補選もない——議席は空いたまま、次の一般選挙(2029年7月)を待つことになります。
同じ「議席が空く」でも、結果はまるで違う
どちらも法律に則った、まったく適法な選択です。制度がそう作られている、というだけの話です。
ただ、有権者の側から見ると違いは明確です。10月15日より前に辞職すれば、その議席は11月1日に有権者の手で埋まる。告示日まで在職すれば、議席は約3年間空いたままになりえる。——同じ「1議席」の重みが、日付の違いだけで変わってしまいます。
議席は、議員のものではありません
24分の1は、誰かの1票の集まりです
私は1,703票をいただいて、この議席にいます。この議席は私の所有物ではなく、投票してくださった方々の意思を議会に運ぶための「席」です。だから、その席は、できるだけ早く次の人に渡したいと考えています。
誰がどの選挙に挑戦するかは、その人の自由です。挑戦そのものは、民主主義にとって健全なことだと思います。問われるのは、挑戦するときに「自分の議席に託された民意」をどう扱うか——その一点だと思っています。
制度としても、考える余地がある
「6分の1を超えるまで補選をしない」というルールには、費用や事務負担という合理性があります。選挙にはお金がかかります(選挙コストの試算)。ただし「補選をやると費用がかかる」と「やらなければ費用が浮く」は同じことではありません。やる場合・やらない場合・空席のままの場合の額を並べたのが補欠選挙をやる費用、やらない費用です。
それでも、定数24で4人分の民意が3年近く不在でも選挙をしないという設計が、いまの時代に最適なのかどうか。これは国の法律なので市議会で変えられるものではありませんが、知られていないこと自体が問題だと思うので、ここに整理しました。