Political Ethics Review · Procedure
三郷市議会議員政治倫理条例は、令和7年4月1日に施行されました
始め方は、書いてある。
やめ方は、書いていない。
誰が請求できるのか、審査会はどう構成され、どう決めるのか——手順は条例と施行規程にかなり細かく定められています。ところが、いったん出した審査請求を取り下げる手続きだけは、どちらにも書かれていません。条文を最初から最後まで読んで確かめました。
6人以上
議員が請求する要件(定数24の4分の1・2会派以上)
2,281人以上
市民が請求する要件(有権者の50分の1)
60日以内
付託から結果の通知・公表まで

政治倫理審査会は、
どう始まり、どう終わるのか。

この条例は、議会が自分たちを律するために自分たちで作ったものです。だからこそ、手続きが誰にとっても分かる状態になっているかを確かめておく必要があります。本ページは条例・施行規程・会議規則の条文に基づく制度の解説であり、特定の個人や事案を論評するものではありません。鈴木優作が個人としてまとめた非公式の資料です。

このページの結論
1
取り下げる手続きが、定められていません。条例にも施行規程にも「取下げ」「撤回」の語がありません。詳しく
2
書類の不備を理由に、実施しないことはできません。議長に内容を審査する権限はなく、審査会にも先に補正を命じる義務があります。詳しく
3
議場での陳謝は、本来は懲罰です。議会が議決して科すもので、審査会の代わりに使うものではありません。詳しく
もし、こんなことが起きたら
いずれも条文に反します。根拠を添えます。
審査請求が出ているのに、審査会が設置されない条例5条1項「設置し…付託するものとする」——議長に開かない選択肢はありません
書類に不備があるからと、直す機会を与えずに終わらせる規程4条3項「相当の期間を定めて、その補正を命ずるものとする」——先に補正を命じる義務があります
審査会を開かない代わりに、議場で謝罪させる陳謝は懲罰(自治法135条1項2号)。議会が議決しない限り科せません
対象になった議員に、意見を述べる機会を与えない条例6条8項「意見陳述の機会を与えなければならない
60日を過ぎても、結果が通知も公表もされない条例9条「付託した日から起算して60日以内に通知するとともに、これを公表するものとする
提出された意見書が、公表されない条例10条2項「当該意見書を公表するものとする」——反論が同じ場所に残る設計です
制度が壊れるのは、大きな事件が起きたときではありません。こうした一つひとつが「まあいいか」で通ったときです。そして一度通れば、それが次の基準になります。
The Flow

全体の流れ

請求が出てから、議会が措置を決めるまで。条例が定める順番はこうなっています。

STEP 1
審査請求が、議長に出される
市民または議員が、政治倫理規準に違反する事実があると思うとき、資料を添えて、代表者から議長に請求します(条例4条1項)。議長は、対象となった議員に請求があった旨を通知します(同3項)。
STEP 2
議長が審査会を設置し、付託する
議長は請求があったときは審査会を設置し、審査を付託する(条例5条1項)。「できる」ではなく「するものとする」——請求が形式を満たしていれば、議長の判断で握りつぶすことはできません。付託したことは請求代表者にも通知されます(同2項)。
STEP 3
審査会が、書類と署名を確かめる
審査会はまず請求書と添付資料を審査し、市民請求の場合は選挙管理委員会に照会して、署名者が選挙人名簿に登録されているかを確認します(規程4条1項・2項)。形式に不備があれば、期間を定めて補正を命じます(同3項)。
STEP 4
審査が行われる
事情聴取、資料の提出要求、専門的知識を持つ人を参考人として呼ぶこともできます(条例6条6項・7項)。そして審査対象議員には、意見を述べる機会を与えなければなりません(同8項)。「与えることができる」ではなく「与えなければならない」——ここは義務です。
STEP 5
結果を議長に報告する(必要なら勧告も)
審査会は審査を終えたら議長に結果を報告します。あわせて、必要と認める措置を、理由を付した文書で勧告できます(条例8条1項)。疑いが晴れた場合に名誉を回復する措置を議長に求めることもできます(同2項)。
STEP 6
60日以内に、通知して公表する
議長は、付託した日から60日以内に、請求代表者と対象議員へ通知し、あわせて公表します(条例9条)。公表は議会広報誌と議会ウェブサイトで行われます(規程10条)。
STEP 7
対象議員は、意見書を出せる
通知を受けた議員は、期限までに議長へ意見書を提出できます。そして議長はその意見書を公表しなければなりません(条例10条)。反論が同じ場所に残る設計になっています。
STEP 8
議長が、必要な措置を講じる
議長は報告または勧告に基づき、議会の名誉と品位を守り市民の信頼を回復するため、必要な措置を講じなければなりません(条例11条)。措置の内容は請求代表者と対象議員に通知されます(規程8条)。
Who Can Ask

誰が、請求できるのか

市民も議員も請求できます。ただし、どちらも一人ではできません。

市民が請求する場合
有権者の
50分の1以上の連署
三郷市に当てはめると
2,281人以上(直近の市議会議員選挙時点の有権者数11万4,049人で計算)
請求する時点で市の選挙人名簿に登録されている人に限られます(条例4条1項1号)。署名は審査会が選挙管理委員会に照会して確認します。
議員が請求する場合
定数の4分の1以上
かつ 2会派以上
三郷市に当てはめると(定数24)
6人以上。しかも2つ以上の異なる会派で構成されていなければならない
一つの会派だけでは請求できません(条例4条1項2号ただし書き)。特定の会派が数の力で使う道具にならないよう、歯止めがかけられているということです。
三郷市議会議員政治倫理条例 第4条第2項(請求できなくなるとき)
審査請求は、当該審査の請求に係る行為があった日の翌日から起算して1年を経過したとき、又は当該行為をした議員がその職を失ったときは、することができない。

定数24で「6人以上・2会派以上」は、何を意味するか

まず、よくある誤解を先に解いておきます。請求するのは会派ではなく、議員個人です。条文が求めているのは「6人以上の議員が連署すること」「その6人が2つ以上の会派にまたがっていること」の2つだけで、会派まるごとの賛同は要りません。6人以上の会派が2つ必要、という意味でもありません。

たとえば最大会派の5人+別会派の1人でも、4人会派の3人+別の4人会派の3人でも成立します。そのうえで、実際の会派構成に当てはめると何が起きるかを見ます。

会派人数この会派の議員だけで足りるか
新政会7人人数は足りるが1会派なので不可
21世紀クラブ4人人数が足りない
創政MISATO4人人数が足りない(私の会派です)
公明党4人人数が足りない
日本共産党3人人数が足りない
無所属2人そもそも会派ではありません

どの会派も、その会派の議員だけでは請求できません。最大会派は人数を満たしますが、1会派だけでは会派要件で止まる。残る5つは、そもそも6人に届きません。——つまりこの議会では、必ず会派をまたいで人を集めなければ、審査請求は成立しません。

ハードルは人数ではなく、そこにあります。自分の会派の外に出て、他会派の議員に署名を求める。会派の意向と違う行動を取る議員が、少なくとも1人は要る。それを、まだ事実が確かめられてもいない段階でやることになります。

加えて、条文は「2つ以上の異なる会派に属するもので構成されていなければならない」と定めています。そのため無所属の議員を構成員に数えられるのかは、条文からは読み取れません。会派に属していない議員が、この入口をどう使えるのかが書かれていない、ということです。

結果として、こうなります
1人の議員が「確かめたい」と思ったとき、まず事実を確かめてもらうだけのために、5人の賛同者を、会派をまたいで集める必要があります。
3人の会派なら他会派から3人以上、2人の無所属なら4人以上。少数であるほど、入口は遠くなります。
一方、その議員を罰するための懲罰動議は、3人で発議できます(自治法135条2項・会派要件なし)。確かめる入口のほうが、罰する入口より狭い——これが現在の状態です。

歯止めとしての意図は理解できます。数の力で誰かを追い落とす道具にしないためでしょう。ただ、その歯止めが効きすぎると、確かめること自体ができなくなります。そして確かめられないまま、より軽い手続きのほうが使われる。私は、入口の要件は見直す余地があると考えています。

つまり1年という時効があります。また、辞職などで議員でなくなった人は、もう対象になりません。なお条例の附則で、第4条は施行日(令和7年4月1日)以後に行われた行為にだけ適用されると定められています。

The Committee

審査会は、どう構成され、どう決めるのか

項目条例の定め
委員の数8人以上。議員のうちから議長が公正を期して選任する(5条3項)
任期当該審査が終了し、結果を議長に報告した日まで(5条4項)=案件ごとに設置される
会長・副会長委員の互選で定める(5条5項)
開くための人数委員の過半数の出席(6条3項)
決め方会長を除く出席委員の過半数。可否同数のときは会長が決する(6条4項)
公開・非公開公開が原則。ただし会長が審査会に諮って非公開にできる(6条5項)
秘密の保持委員は職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。退任後も同様(5条8項)
議長が対象のとき副議長が、両方が対象なら議会運営委員長、年長議員の順で議長の職務を代行(規程12条)

注目したいのは「会長を除く出席委員の過半数」という決め方です。会長は議事を主宰し、可否同数のときにだけ決定権を持ちます。委員会条例の一般的な議決方法と同じ考え方で、主宰者が最初から一票を投じない設計になっています。

Rights and Duties

対象となった議員の、権利と義務

与えられている権利
意見を述べる機会(条例6条8項・審査会の義務)。結果に対して意見書を出す権利、そしてその意見書を公表させる権利(条例10条)。疑いが晴れたときは、審査会が名誉回復の措置を議長に求めることができます(条例8条2項)。
課されている義務
審査会の請求があるときは資料を提出し、会議に出席しなければならない(条例7条1項)。協力しなかったり虚偽の報告をしたときは、その旨が公表されます(同2項)。なお全議員は、任期開始後すみやかに条例遵守の宣誓書を提出する義務があり、出さない場合は氏名が公表されます(条例12条)。

この条例は、疑われた側を一方的に裁く仕組みにはなっていません。意見を述べさせる、反論を残す、晴れたら名誉を回復する——その3つが条文に書き込まれています。

Seven Levels

勧告は、7種類ある

審査会が「必要と認める措置」として勧告できる内容は、施行規程で7つに限定されています。重い順ではなく、規程に書かれている順に並べます。

1注意
2本会議における陳謝勧告
3一定期間の出席自粛勧告
4議長等役職及び議会選出委員の就任自粛勧告
5議長等役職及び議会選出委員の辞任勧告
6議員辞職勧告
7名誉の回復

7番目に「名誉の回復」が入っているのが、この規程の要点だと思います。審査会は罰を与えるための機関ではなく、事実を確かめる機関である——という位置づけがここに表れています。

ここは混同されやすい点です
審査会が出せるのはあくまで「勧告」です。議員の身分に直接影響する懲罰(戒告・陳謝・出席停止・除名)は、地方自治法に基づいて本会議で議決される別の手続きであり、政治倫理審査会が決めるものではありません。とくに除名は、議員数の3分の2以上が出席し、その4分の3以上の同意という重い要件が課されています(地方自治法135条3項)。
Apology as Punishment

議場で謝罪を求めることの、重さ

勧告の2番目に「本会議における陳謝勧告」があります。ただ、これは軽く扱ってよい手段ではないと考えています。理由は4つです。

地方自治法 第135条(懲罰の種類と、発議に必要な人数)
懲罰は、左の通りとする。
一 公開の議場における戒告 二 公開の議場における陳謝 三 一定期間の出席停止 四 除名
2 懲罰の動議を議題とするに当つては、議員の定数の八分の一以上の者の発議によらなければならない。
理由 1
謝罪は、内心にかかわる
最高裁は謝罪広告の強制執行について、「単に事態の真相を告白し陳謝の意を表明するに止まる程度」なら許されるとしました(昭和31年7月4日 大法廷判決)。裏を返せば、その範囲を超えれば良心の自由に触れます。
理由 2
順序が、逆になりやすい
謝罪を求めるとは、すでに非があると決めているということ。審査会は本来、事実を確かめる機関です。勧告の7番目が「名誉の回復」なのは、疑いが晴れる場合を想定しているからです。
理由 3
言論の府が、言論を狭めうる
発言を理由に謝罪を求める手段は、使い方しだいで異論を萎縮させます。条例3条9号(発言・情報発信の規準)を誰がどう当てはめるかで、議会は言論を守る側にも狭める側にもなれます。
理由 4
数のハードルが、逆転している
下の表のとおり、事実を確かめる手続きより、罰する手続きのほうが少人数で始められます。しかも懲罰動議には会派要件がありません。
手続き始めるのに必要な人数三郷市(定数24)
懲罰の動議
(罰する)
定数の8分の1以上の発議(自治法135条2項)3人・会派要件なし
政治倫理の審査請求
(確かめる)
定数の4分の1以上かつ2会派以上(条例4条1項2号)6人以上
そして、三郷市議会が経験したこと
2026年7月10日、埼玉県知事は本市議会の除名処分を「取り消す」とし、「議会の裁量権の範囲を逸脱し、又は濫用した違法な処分」と判断しました。懲罰は、議会が決めれば終わりではありません。私はその議決に賛成した19人の一人でした。除名審決を読む →

問題は、この手段をどういう順序で、どれだけ慎重に使うかです。事実の確認を尽くし、本人に十分な反論の機会を与えたうえでなければ、手を伸ばすべきではないと考えています。

Instead Of

審査会を開かずに、謝罪で済ませることはできるのか

「審査会を開く代わりに、議場で謝ってもらう」——実務ではこうした落としどころが語られることがあります。制度としてどうなのかを、条文で確かめます。

条文から言えること
議場での陳謝は、本来は「懲罰」です。
そして懲罰は、議会が議決して科すものです。

議決を経ていない謝罪は、法律上の懲罰ではありません。条文の外側にある行為です。それでも外から見える光景は懲罰とほぼ同じで、記録には謝罪した事実だけが残ります。

条例 第5条第1項(再掲)
議長は、審査請求があったときは、…審査会を設置し、当該審査請求に係る審査を審査会に付託するものとする

条文に「開かない」という選択肢はありません。すでに審査請求が出ている状態で「開かない代わりに」という取引が成立するなら、それは条文に根拠のない扱いです。請求前の段階なら条例上の義務はまだ生じませんが、次の3つが失われる点は変わりません。

失われるもの 1
事実が、確かめられない
事情聴取も資料の提出要求もできる(6条6項)のに、何があったのかが確定しないまま終わります。
失われるもの 2
反論の機会が、なくなる
意見を述べる機会(6条8項)も、意見書とその公表(10条)も使われません。
失われるもの 3
晴れる可能性が、消える
勧告の7番目は「名誉の回復」。謝罪から入ると、この出口は最初から閉じられます。

早く終わることと、正しく終わることは違います。そして一度その形で処理されると、それが次の基準になります。条文に書かれていない扱いほど、前例の力が強くなるからです。

Can It Be Turned Away

書類の不備を理由に、実施しないことはできるのか

条文から読み取れる答え
できません。不備があるときは、
まず補正を命じなければならないと定められています。

二重に塞がれています。① 議長の段階——条例5条1項は「設置し…付託するものとする」。議長に書類の中身を審査する権限はなく、門前払いする道が条文にありません。確認するのは審査会です(規程4条1項・2項)。

② 審査会の段階 ── 施行規程 第4条第3項
審査会は、…審査請求書等に形式上の不備があると認めるときは、審査請求代表者に対し、相当の期間を定めて、その補正を命ずるものとする

ここも「命ずることができる」ではなく「命ずるものとする」。直す機会を与えることが義務です。却下できるのは、次の2つの場合だけです。

却下できる場合基準は明確か
補正命令に従わないとき明確。命令に応じたかどうかで判断できる(規程5条1項後段)
結果が不適当と認められたとき基準が条文にない。何をもって「不適当」とするかが書かれていない(同前段)
そして、却下は公表の対象に挙げられていない
規程10条が公表すべきものとして列挙するのは条例7条2項・9条・10条2項・12条2項のみ。却下したことの公表は含まれていません。付託されたことは公表されるのに、却下という結末は出ない状態が起こりえます。

疑いをかけられた側にとっては、終わったことが分かる形で残るかどうかが重要です。却下も含めて結末は公表されるべきだと考えています。

Withdrawal

では、取り下げるには

条例と施行規程を最初から最後まで読みましたが、取り下げる手続きは、どこにも定められていません。

条文を通読して確認したこと
条例(全13条)にも、施行規程(全13条)にも、
「取下げ」「撤回」という語は一度も出てきません。

定められている「終わり方」は2つだけです。①審査を終えて議長に報告する(条例8条1項)。②審査会が却下する(規程5条1項)。②は審査会が判断することで、請求した側が選べる出口ではありません。

参考までに、会議規則には撤回の定めがあります。ただしいずれも審査請求を直接の対象とはしていません。

何を撤回するか誰の承認が要るか根拠
会議の議題となった事件・動議議会の承認会議規則19条
委員会の議題となった動議委員会の承認会議規則100条
請願書(議題となったものを除く)議長の承認会議規則139条5項

審査請求は「事件」でも「動議」でも「請願」でもありません。条例13条・規程13条の委任により議長が定める領域ですが、その判断の根拠が条文に用意されていない——これが現在の状態です。放っておくと、次の3つが起こりえます。

起こりうること 1
判断が、その都度変わる
基準がないため、前例が基準になってしまいます。
起こりうること 2
対象議員の立場が、宙に浮く
取り下げの公表についても定めがありません。疑いだけが残る形になりかねない。
起こりうること 3
駆け引きの材料になりうる
出し入れが自由な状態は、制度が本来の目的以外に使われる余地を残します。

私は、取り下げを認めるべきか否か以前に、どちらなのかを条文に書いておくべきだと考えています。認めるなら「誰の承認が必要か」「どの段階まで可能か」「公表はどうするか」を。認めないなら、その旨を。書いていないことが、いちばん危ういからです。

Paper Trail

記録は、どう残る設計になっているか

ここまで「開かない」「却下する」「取り下げる」を見てきました。では、手続きが動いたかどうかは、あとから確かめられるのか。施行規程は、この点をかなりはっきり定めています。

施行規程が定めているもの
様式第1号から第13号まで。
手続きの各段階に、文書が用意されています。
段階作られる文書根拠
審査請求審査請求書(様式第1号)/審査請求署名簿(第2号)規程2条1項・2項
対象議員への通知審査請求通知書(第3号)規程2条4項
付託の通知審査付託通知書(第4号)規程3条
署名の確認審査請求署名簿確認依頼書(第5号)※選挙管理委員会あて規程4条2項
却下審査請求却下通知書(第6号=審査会→議長/第7号=議長→当事者)規程5条2項・3項
審査結果審査結果報告書(第8号)/審査結果通知書(第9号・第10号)規程6条・7条
措置措置内容決定通知書(第11号)規程8条
反論意見書(第12号)規程9条

請求されれば請求書が残る。対象議員に伝えれば通知書が残る。付託すれば付託通知書が残る。却下しても却下通知書が残る。手続きが動けば、必ず文書が生まれる。——そういう作りになっています。

これは誰かを疑うための話ではありません。後から誰でも確かめられる状態になっている、という設計の話です。議会の文書は情報公開制度の対象でもあります。だからこそ、手続きは記憶や口約束ではなく、文書で確認するものだと考えています。

逆に言えば
この13の様式が用意されているということは、口頭のやり取りだけで手続きを進めたり、終わらせたりすることを想定していないということです。「言った・言わない」で争う余地を残さないために様式が定められている——私はそう理解しています。

これらは、すべて公文書です

三郷市情報公開条例 第2条(定義)
この条例において「実施機関」とは、次に掲げる機関をいう。
(1) 市長 (2) 教育委員会 (3) 選挙管理委員会 (4) 公平委員会 (5) 監査委員 (6) 農業委員会 (7) 固定資産評価審査委員会 (8) 議会
2 この条例において「市政情報」とは、実施機関の職員が職務上作成し、又は取得した文書、図画及び電磁的記録…であって、当該実施機関の職員が組織的に用いるものとして、当該実施機関が保有しているものをいう。

議会は、条例が定める実施機関のひとつです(2条1項8号)。したがって、議会が職務上つくり、または受け取った文書は「市政情報」にあたり、市民の公開請求の対象になります。審査請求書も、通知書も、却下通知書も——誰かの私物ではなく、公文書です。

これは実務的にも意味があります。「文書があるのかないのか」は、請求すれば確かめられるということだからです。記憶や口約束を突き合わせる必要はありません。議会の手続きは、市民があとから検証できる状態に置かれている——それがこの条例の建て付けです。

説明と、手続きが食い違ったとき

議長は議会を代表する立場です(自治法104条)。代表者会議や議会運営委員会で議長が述べた説明は、各会派に持ち帰られ、議員が物事を判断するときの前提になります。「そう進むのだろう」と各議員が受け止め、それに沿って動く。議会運営は、その積み重ねで回っています。

だからもし、説明されたことと実際の手続きが食い違っていた場合、それは単なる行き違いでは済みません。議会全体が、事実と異なる前提で動いたことになるからです。そして文書が残る設計である以上、食い違いは後から必ず明らかになります。

ここに、論点が生まれます
説明したとおりに手続きを進めることは、議長の裁量なのか。それとも職責の中身そのものなのか。
私は後者だと考えています。議会を代表して述べた説明が事実と違ってよいのなら、議員は何を前提に判断すればいいのか——その問いが残るからです。議長を信用できないなら、議会は毎回すべてを疑ってかからなければ動けません。議長の説明が正確であることは、議会が議会として機能するための前提です。

これは、職責を守るための論点です。議長という職責を、どこまで重いものとして扱うかという話です。重く扱うほど、その職に就く人は守られます。「言ったとおりにやる」が当たり前になっていれば、あとから疑われること自体がなくなるからです。

The Chair

議長の職責と、すべての議員が平等に扱われること

ここまでの論点は、突きつめると議長という職責をどう捉えるかに行き着きます。そしてこれは、すべての議員が、同じ扱いを受けられるかどうかという話だと思っています。

地方自治法 第104条(議長の職務)
普通地方公共団体の議会の議長は、議場の秩序を保持し議事を整理し議会の事務を統理し議会を代表する

職務はこの4つ。「判断する」「選別する」は含まれていません。議長は議事を整理する役であって、中身の当否を決める役ではない。しかも規程12条は議長自身が審査対象になったときの代行順序まで定めています。議長は、この制度の外側にいる人ではないという前提です。

条文で動くと
誰が対象でも、同じ手続きになる
請求の要件、付託の義務、意見陳述、60日の期限、公表——相手が誰かによって変わりません。
慣行で動くと
前例と力関係が、基準になる
慣行で決まる領域が広いほど、決める側に近い人ほど有利になります。
だから
書いてあるとおりに、動かす
堅苦しさの主張ではありません。次に誰が対象でも同じ扱いになる状態を保つ、確実な方法です。

条文どおりに動く領域では、経験年数も、会派の大小も関係がありません。誰が対象であっても、同じ要件で始まり、同じ手続きが進み、同じ期限で公表される。ルールとは本来、そのためにあるものだと思っています。

三郷市議会基本条例 第2条(議会の活動原則)
議会は、…市民の多様な意見を的確に把握して市政に反映させるとともに、議会運営における透明性を確保し公平、公正かつ民主的な議会の活動に努めるものとする。

多様な意見の反映、透明性、公平・公正・民主的な運営。これは私の願望ではなく、議会が自分で条文にしたことです。私がやりたいのは、ここに書いてあるとおりにするということです。

議会は多数決で決めます。ただ多数決は、少数派を黙らせる道具ではありません。手続きが守られているからこそ、負けた側も結果を受け入れられる。手続きを飛ばして出た結論は、勝った側にとっても揺らぎやすい結論になります。だから自分に不利な場面でも同じことを言うつもりです——書いてあるとおりに動かすことが、いちばん地味で確実な民主主義の守り方だと考えています。

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本ページは「鈴木優作調べ」です。条例・規程の条文をもとに個人でまとめた解説であり、議会・会派の公式見解ではありません。正確な内容は、三郷市例規集の原文をご確認ください。

Sources & Notes

作成:鈴木優作(三郷市議会議員/創政MISATO)
書いていないことが、いちばん危うい。