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指定管理者制度とは、
何を決めることか。

三郷市の22の施設は、市ではない団体が管理しています。根拠は地方自治法第244条の2第3項。契約ではなく「指定」で、議会の議決が要ります。

Frame

市の施設なのに、
市が動かしていない。

文化会館も、総合体育館も、老人福祉センターも、建てたのは三郷市です。持ち主も三郷市です。けれど、日々の運営をしているのは市ではありません。三郷市の22の施設が、市の指定を受けた団体によって管理されています。

指定管理者が管理する施設22施設
うち公社と社協の2団体で17施設
会社・共同事業体5施設
  • 公の施設を、市以外の団体に管理させる根拠は地方自治法第244条の2第3項です。「公の施設の設置の目的を効果的に達成するため必要があると認めるとき」に、条例の定めるところにより、市が指定した法人その他の団体に管理を行わせることができる、と書かれています。相手は会社でも、公益法人でも、社会福祉法人でも、自治会でもかまいません。
  • 契約ではなく「指定」という行政の決定工事や物品のような契約ではないので、いちばん安い相手を選ぶ入札の手続きは使いません。国の通知も「公共サービスの水準の確保という要請を果たす最も適切なサービスの提供者を、議会の議決を経て指定するものであり、単なる価格競争による入札とは異なる」と述べています。
  • 期間を決めて指定する第5項に「期間を定めて行うものとする」とあります。何年にするかは、法律に定めがありません。全国では5年が77.1%で、三郷市も多くが5年です。定期的に見直す機会をつくるための期間、というのが国の説明です。
  • お金の受け取り方も、ここで決まる第8項により、利用料金を市に納めさせず、指定管理者の収入にすることができます(利用料金制)。この場合の料金は条例の範囲で指定管理者が決め、あらかじめ市の承認を受けます(第9項)。

地方自治法 第244条の2 第3項

普通地方公共団体は、公の施設の設置の目的を効果的に達成するため必要があると認めるときは、条例の定めるところにより、法人その他の団体であつて当該普通地方公共団体が指定するもの(以下本条及び第二百四十四条の四において「指定管理者」という。)に、当該公の施設の管理を行わせることができる。

昭和22年法律第67号(e-Gov法令検索・2026年9月20日確認)
Decisions

決定は、8つある。

「指定管理にする」という一度の決定で終わる話ではありません。条例から取消しまで、決定はいくつも続きます。そのうち議会の議決が要るのは、指定そのものの1つです。

  1. 条例をつくる議会施設ごとの設置管理条例に、指定管理者に管理させることと、指定の手続・管理の基準・業務の範囲を書き込みます(第4項)。ここが出発点です。
  2. 募集して、申請を受ける市長募集要項をつくり、申請を受け付けます。公募にするかどうかは、法律では決まっていません。
  3. 候補者を選ぶ市長(選定委員会)三郷市では、部長級で構成する選定委員会が選定基準をつくり、提出書類を審査して候補者を選びます。
  4. 指定を議決する議会ここが、議会の同意が要る一点です。市長は、指定をしようとするときはあらかじめ議会の議決を経なければなりません(第6項)。議案には、施設の名称・団体の名称と所在地・指定の期間が書かれます。
  5. 協定を結ぶ市長議決のあと、市と指定管理者が協定を結びます。業務の中身、事業報告、リスクの分担、損害賠償保険などを、ここで具体的に決めます。
  6. 事業報告を受け、評価する市長指定管理者は毎年度終了後に事業報告書を出します(第7項)。市はこれをもとに点検・評価(モニタリング)を行います。
  7. 調べ、指示する市長市長は、管理の業務や経理の状況について報告を求め、実地に調査し、必要な指示をすることができます(第10項)。
  8. 取り消す/止める市長指示に従わないとき、管理を続けることが適当でないと認めるときは、指定を取り消し、または期間を定めて業務の停止を命ずることができます(第11項)。

条項は地方自治法第244条の2によります。第2段階から第3段階の進め方は、三郷市の条例・規則・選定委員会設置規程によるものです。

Council

議会が関われるのは、
どこか。

  • 条例のとき指定管理者に管理させるかどうか、手続と基準をどう書くかは、条例の議決事項です。制度の枠組みは、施設を建てるときの条例づくりで決まっています
  • 指定のとき指定そのものの議決(第6項)。任期が始まった令和7年8月以降では、令和7年12月定例会の3議案がこれにあたり、15施設の5年間が決まりました。
  • 予算のとき指定期間が複数年度にわたり、市から委託料を払うことが確実に見込まれるときは、債務負担行為を設定します。国の通知が求めているもので、予算の議決事項です。
  • 決算と一般質問事業報告とモニタリングの結果は、決算の審査や一般質問で扱えます。指定のあとに議会が関われるのは、ここです。
  • 特に重要な施設を廃止するとき条例で定める特に重要な公の施設を廃止し、または長期かつ独占的に利用させようとするときは、出席議員の3分の2以上の同意が要ります(第244条の2第2項)。
Misato

三郷市の場合。

  • 手続は、施設ごとの条例に書かれている多くの自治体は「公の施設に係る指定管理者の指定の手続等に関する条例」という共通の条例を持ちます。三郷市は、施設ごとの設置管理条例にそれぞれ書き込む方式です。たとえば文化会館の条例は、第18条から第23条までで、指定の手続・選定の基準5つ・管理の基準・協定・取消しを定めています。
  • 選ぶ場は、部長で構成される三郷市指定管理者候補者選定委員会は、企画政策部長・総務部長・財務部長・地域振興部長・いきいき健康部長・こども未来部長と、案件ごとに市長が指定する者で構成されます。委員長は企画政策部長。根拠は条例でも規則でもなく訓令で、規程は「会議は、非公開とする」と定めています。
  • 点検の結果は、公表されている市は半期と通期でモニタリングを行い、結果をホームページに載せています。評点合計が70点以上なら管理運営が良好、という基準です。令和7年度の通期は、22施設すべてが100点換算で78〜82点の幅に収まりました。
三郷市の指定管理者制度導入施設(令和8年4月1日現在)と、令和7年12月定例会の議案
施設指定管理者指定期間
三郷市文化会館文化振興公社令和8〜12年度
三郷市鷹野文化センター文化振興公社令和8〜12年度
三郷市立コミュニティセンター文化振興公社令和8〜12年度
三郷市立東和東地区文化センター文化振興公社令和8〜12年度
三郷市立彦成地区文化センター文化振興公社令和8〜12年度
三郷市立高州地区文化センター文化振興公社令和8〜12年度
三郷市立高州地区体育館文化振興公社令和8〜12年度
三郷市総合体育館文化振興公社令和8〜12年度
三郷市陸上競技場公園文化振興公社令和8〜12年度
三郷スカイパーク文化振興公社令和8〜12年度
三郷市立希望の郷交流センター社会福祉協議会令和4〜9年度
三郷市立岩野木老人福祉センター社会福祉協議会令和8〜12年度
三郷市岩野木集会場社会福祉協議会令和8〜12年度
三郷市立彦沢老人福祉センター社会福祉協議会令和8〜12年度
三郷市立戸ヶ崎老人福祉センター社会福祉協議会令和8〜12年度
三郷市立戸ヶ崎老人デイサービスセンター社会福祉協議会令和8〜12年度
三郷市立北児童館社会福祉協議会令和4〜9年度
三郷市立ピアラシティ交流センター日比谷花壇みさと街づくり共同事業体令和4〜8年度
ピアラシティ中央公園日比谷花壇みさと街づくり共同事業体令和4〜8年度
三郷中央におどりプラザ大和リースグループ令和6〜10年度
三郷市立南児童センター株式会社明日葉令和7〜11年度
三郷市立早稲田児童センター株式会社明日葉令和7〜11年度

市の公表資料の表記を、指定管理者の名称だけ短くして並べました。正式名称は、公益財団法人三郷市文化振興公社、社会福祉法人三郷市社会福祉協議会です。

議案公の施設指定管理者
議案第83号文化会館・鷹野文化センター・コミュニティセンター・東和東地区文化センター・彦成地区文化センター・高州地区文化センター・高州地区体育館公益財団法人 三郷市文化振興公社
議案第84号総合体育館・陸上競技場公園・三郷スカイパーク公益財団法人 三郷市文化振興公社
議案第85号岩野木老人福祉センター・彦沢老人福祉センター・戸ヶ崎老人福祉センター・戸ヶ崎老人デイサービスセンター・岩野木集会場社会福祉法人 三郷市社会福祉協議会

令和7年12月1日提出・12月9日議決。いずれも原案可決で、指定の期間は令和8年4月1日から令和13年3月31日までです。提案理由は3議案とも同じで、地方自治法第244条の2第6項の規定による、と記されています。

Questions

ここから、
問えること。

制度そのものに良し悪しがあるわけではありません。民間のノウハウで市民サービスの質が上がるなら、市が直接やるより良い形です。見るべきなのは、決める過程が見えるかどうかです。

  • 施設ごとに、賛否を示せる形令和7年12月の3議案は、1議案に7施設・5施設とまとめられていました。この形だと、ある施設の指定に賛成で別の施設に疑問がある議員も、まとめて一つの結論を出すことになります。施設の性質ごとに議案を分ければ、議会の判断は細かく示せます。
  • 公募にするかどうかの理由が、読める形全国では53.4%の施設が公募で候補者を募っています。公募にするかどうかは市が選べる事項なので、どちらを選び、なぜそうしたかが資料に書かれていれば、議会も市民も、指定の議案を判断する材料を持てます。
  • 評価に、外からの目を入れる全国で評価を行っているのは80.8%、そのうち専門的知見を持つ外部有識者の視点を入れているのは31.1%(市区町村では24.8%)です。国の通知も、施設の態様に応じて外部の視点を導入することが重要だとしています。三郷市の評価は所管課長が行う形なので、利用者や第三者の目を足せば、点数の意味が厚くなります。
  • 選び方と結果が、同じ場所で読める形市が公表しているのは、導入施設の一覧とモニタリングの結果です。ここに募集要項・応募の状況・選定の結果が並べば、「なぜこの団体なのか」を、議決の前に誰でも確かめられます。

指定管理者制度は、公の施設の管理を市の外へ広げるしくみです。広げた分だけ、決定の過程を見える形にしておく。それが、議決に加わる側の仕事だと考えています。

Sources & Notes

作成:鈴木優作(三郷市議会議員/創政MISATO)
違っているところがあれば教えてください。直して、直した記録を残します。