先に、
こたえを書きます。
住み続けられるか在留資格、働ける範囲、退去強制、国籍。出入国在留管理庁と法務大臣。取締りは国と警察。
暮らすか住民票、税と国保、ごみや騒音のルール、日本語、子どもの学校、防災、相談。
在留資格を出すことも取り消すことも、市の権限ではありません。そのかわり、毎日の暮らしにかかわることは、ほとんどが市の仕事です。
三郷市に住む外国人は、
8,522人。
埼玉県全体では約3.9%です(令和8年1月1日)。
三郷市に100人いたら、6人が外国人住民。
住民票のある外国人の数(毎年10月1日)
4年で3,054人ふえて、約1.6倍になりました。同じ4年で、日本人の住民は3,890人へっています。 三郷市の人口がほぼ横ばいなのは、日本人がへる分を、外国人がふえる分がおぎなっている形です。
人数が大きく変わるのに、しくみが追いつかないと、すれちがいが起きます。だから、誰が何をするのかを整理しておくことが大切です。
数字は住民基本台帳(住民票)によるもので、3か月をこえて日本に住む人などが対象です。短い滞在の人や、在留資格のない人は入りません。三郷市の数字は、埼玉県オープンデータの町名別人口の総合計から、日本人の数を引いて出しました。
暮らしの流れで見ると、
担当はこう変わる。
外国人が三郷市に来て暮らすまでを、順番にたどります。色が担当です。
国県民間市地域
- 日本に来る・在留資格をもらう国出入国在留管理庁
入れるかどうかは、ここで決まる
- 住む部屋を借りる民間大家さん・不動産会社・UR
貸すか、何人まで住めるかは契約で決まる
- 市役所に転入届を出す市市民課
住民票ができて、三郷市の住民になる
- 働く民間雇う会社・お店国労働基準監督署・ハローワーク
雇うのは民間、働くルールは国
- 税を納め、国民健康保険に入る市市民税課・国保年金課
日本人と同じルールで納める
- ごみを出す・ご近所づきあい市クリーンライフ課地域自治会・町会
ルールを伝えるのは市と地域
- 子どもが学校に通う市教育委員会
希望すれば公立の小中学校へ
- 困ったときに相談する市市民活動支援課県外国人総合相談センター埼玉国外国人在留支援センター
窓口は市・県・国にある
- 在留資格を更新する国出入国在留管理庁
住み続けられるかは、また国が決める
- ルール違反・犯罪があったら県警察(吉川警察署)国入管
取締りは警察と入管。市はつなぐ役
それを決めるのは、
誰か。
外国人をめぐって話題になることを、担い手ごとに地図にしました。
国入れるか・住み続けられるか
- 在留資格・在留期間
- 退去強制・難民認定
- 国籍・帰化
- 働ける範囲・不法就労
- 働くときのルール
- 実習生の受け入れの監督
- 土地の取得の規制
- 選挙権
- 生活保護の基準
県取り締まる
- 犯罪の捜査・取締り(警察)
民間雇う・貸す
- 外国人を雇う(事業主)
- 部屋を貸す(大家さん・不動産会社・UR)
市どう一緒に暮らすか
- 住民票
- 税・国民健康保険
- ごみ・生活ルールの周知
- 相談・日本語の場
- 子どもの学校(教育委員会)
- 防災・消防
地域ご近所で決める
- 自治会・町会のルール
担当する役所と、法律の根拠をくわしく見る
市の外側:国・県・民間が決めること
- 日本に入れるか・住み続けられるか(在留資格・在留期間)国出入国在留管理庁(法務省)。埼玉県の申請は東京出入国在留管理局さいたま出張所在留資格を出すのも、更新するのも、取り消すのも入管です(出入国管理及び難民認定法)。市にはこの権限がありません
- 退去強制・難民認定・仮放免国出入国在留管理庁(法務省)いずれも入管の判断です
- 国籍・帰化国法務大臣が許可。申請の窓口は法務局(さいたま地方法務局)国籍法第4条
- 働けるかどうか・不法就労の取締り国出入国在留管理庁(働ける範囲は在留資格で決まる)・警察不法就労をさせた会社への罰則も、入管法で国が定めています(第73条の2)
- 働くときのルール(賃金・労働時間・安全)国厚生労働省(埼玉労働局・労働基準監督署・ハローワーク)日本人と同じ労働基準法がかかります。外国人を雇った会社は、ハローワークに届け出ます(労働施策総合推進法第28条)
- 技能実習生などの受け入れの監督国出入国在留管理庁・厚生労働省・外国人技能実習機構受け入れる会社や監理団体を監督するのは国です
- 犯罪の捜査・取締り県埼玉県警察(三郷市を受け持つのは吉川警察署)国籍に関係なく、警察の仕事です
- 土地の取得の規制国内閣府(重要土地等調査法)安全保障上大事な土地の利用の調査や規制は、国の法律で国が行います
- 選挙権国国会がつくる法律で決まる日本国籍の人に限られています(公職選挙法第9条、地方自治法第18条)
- 生活保護の基準と、外国人の扱い国厚生労働省(実施の窓口は市の福祉事務所)一部の在留資格の人への準用も、国の通知で決まっています。市が対象を広げたり狭めたりはできません
- 外国人を雇う民間会社・お店・農家などの事業主誰を雇うか、どう働いてもらうかは事業主が決め、その責任を負います。市が採用を止めることはできません
- 部屋を貸す・入居のルール民間大家さん・不動産会社・UR都市機構(団地)誰に貸すか、一部屋に何人まで住めるか、ごみや騒音の決まりは、貸す人と借りる人の契約で決まります。市が直接決めることはできません
市と地域が担うこと
- 住民票・税・国民健康保険市三郷市(市民課・市民税課・国保年金課)外国人も、市に住所があれば「住民」です(地方自治法第10条)
- ごみの出し方・まちの生活ルールの周知市三郷市(クリーンライフ課ほか)ごみの処理は市の仕事です(廃棄物処理法第6条の2)
- 相談・国際交流・日本語の場づくり市三郷市(市民活動支援課)・三郷市国際交流協会日本語教育は市町村の責務でもあります(日本語教育推進法第5条)
- 子どもの学校市三郷市教育委員会市役所とは別の機関です。就学の案内や日本語の指導を担います
- 防災・消防市三郷市(危機管理防災課・消防本部)避難情報を出すのは市長です
- ご近所の付き合い・地域の決まり地域自治会・町会ごみ集積所の使い方など、地域で決めて守るルールもあります
「外国人を入れない」と約束しても、それを実行する権限は市にありません。誰を雇うか、誰に部屋を貸すかも、事業主や大家さんが決めます。 逆に、暮らしのルールや相談、日本語の場づくりは市の仕事そのものです。
転入の窓口で、
市にできること。
外国人が三郷市に引っ越してくると、市役所に転入の届けを出します。在留資格のある人の住所の届けは、法律で市の窓口が受けることになっています(入管法第19条の7、住民基本台帳法第30条の45)。 この窓口でできることと、できないことを分けます。
市にできること
- 在留カードで、本人と在留資格・期間を確かめて、住民票をつくる
- ほんとうにそこに住んでいるかを、調べる(住民基本台帳法第34条)
- 転入のときに、暮らしのガイドやごみの出し方を、わかる言葉で手渡す
- 国民健康保険・年金・税・子どもの手続きを、その場で案内する
市にはできないこと
- 在留資格のある人の転入届を、市の判断で受け付けない
- 在留資格を審査したり、取り消したりする(入管の仕事)
- 国籍だけを理由に、住民サービスの対象から外す(法律で決まっている場合をのぞく)
- 在留資格のない人に、住民票をつくる(そもそも対象外)
市が確かめられるのは、本人であることと、ほんとうにそこに住むのかまで。そのかわり窓口は、市が外国人住民と必ず顔を合わせる場所です。ここで暮らしのルールを確実に伝えることは、すぐにできます。
市の権限で、
できること。
国の法律を変えなくても、市の判断と予算でできることは、これだけあります。
法律の根拠と、三郷市のいまをくわしく見る
- 01暮らしのルールを、わかる言葉で伝えるごみの分け方や出す日、騒音、駐車、自治会のこと。ごみの処理は市の仕事です(廃棄物処理法第6条の2)。三郷市は、ごみの分け方・出し方と出す日の一覧を、英語・中国語・ベトナム語・タガログ語・韓国語の5言語で出しています。転入のときに、窓口でこうした案内を確実に手渡すことも、市の運用で決められます。
- 02困ったときの相談窓口をつくる言葉や手続きで困ったときに、まず相談できる場所。市が自前の窓口をつくることができ、国にはそのための交付金(外国人受入環境整備交付金)もあります。いまの三郷市のサイトの案内は、県の外国人総合相談センター埼玉や、国の外国人在留支援センターなど、県・国の窓口へのリンクが中心です。
- 03日本語を学べる場を用意する日本語教育推進法は、地域の状況に応じた日本語教育の施策をつくり、実施することを、市町村の責務としています(第5条)。三郷市では、三郷市国際交流協会が日本語教室を開いており、市は教室のボランティアを育てる講座を案内しています。
- 04子どもが学校に通えるようにする外国籍の子どもに就学の義務はありませんが、希望すれば公立の小中学校に受け入れます。就学の案内や、日本語の指導の体制をつくるのは、市の教育委員会です(文部科学省の指針、令和2年)。市役所とは別の機関なので、市長が直接は動かせません。
- 05税と国民健康保険を、同じルールで納めてもらう住民票のある外国人も、市民税を納め、原則として国民健康保険に入ります(在留3か月以下の人などをのぞく)。滞納への対応は、国籍に関係なく同じ手続きです。国を出る人には、代わりに納める納税管理人を決めてもらう案内ができます(地方税法第300条)。
- 06防災の情報を、届く形で出す避難の情報やハザードマップを、多言語や「やさしい日本語」で出すこと。避難情報を出すのは市長です(災害対策基本法)。三郷市は、防災・ハザードマップの英語のページを持っています。
- 07建物の安全を、国籍に関係なく確かめる火災の危険や、住まい方による安全上の問題は、消防法や建築基準法の同じ基準で指導します。三郷市は自前の消防本部を持っています。一方で、一部屋に何人住むかといった住まい方は、まず貸主(URや大家)と借り手の契約の問題で、市が直接決めることはできません。市にできるのは、貸主と話し合い、連携することです。
- 08法律違反に気づいたら、国や警察につなぐ市の職員が、仕事の中で在留資格のない人などに気づいたときは、入管に通報することになっています(入管法第62条第2項)。取締りそのものは国と警察の仕事ですが、市は情報をつなぐ役を担います。
- 09外国人住民の声を聞き、地域とつなぐ外国人住民と自治会、学校、事業者が話し合う場を、市の判断でつくれます。会議を条例や要綱で置くのも、市の判断です。
- 10実態を、数字で示す住民票をもとに、町丁目ごとの外国人住民の数や、年齢、増え方を示せるのは市です。不安の話も、支援の話も、まず数字から始められます。
- 11国に、意見を届ける国の権限のことでも、議会は国に意見書を出せます(地方自治法第99条)。市長も、国や県に要望できます。決めるのは国でも、声を届けることはできます。
三郷市の取り組みは、市の公式サイトで確かめられたものだけを書いています(2026年11月時点)。市の中で行っていても、サイトに載っていないものは入っていません。
国籍ではなく、
行為で考える。
市のルールは、住んでいる人みんなに同じようにかけるのが基本です。ごみ、騒音、違法な働かせ方といった行為には、誰であってもきちんと向き合えます。不安の多くは、ここに当てはまります。
地方自治法第10条は、市に住所がある人を国籍に関係なく「住民」とし、ひとしくサービスを受け、ひとしく負担するとしています。法律の根拠なしに国籍だけを理由として条例で義務や制限をかけることは、憲法第14条(法の下の平等)との関係でまず難しい、というのが鈴木優作の考えです。国は差別的な言動をなくす取り組みを市町村にも求めています(ヘイトスピーチ解消法 第4条第2項)。
「入れるか」は国が決めます。
「どう一緒に暮らすか」は、市と地域で決められます。
外国人の話を聞いたら、
ここを見る。
どの政策が良いかは、このページでは決めません。ただ、話を聞くときに確かめておきたいことは、はっきりしています。
- 01それは、誰が決めることか国(入管・法務大臣)か、県(警察)か、市か。市長や市議会が約束できることかどうかが、ここで決まる
- 02市のことなら、どの法律で、どの予算で窓口の運用か、新しい事業か。いくらかかり、誰が担うのか
- 03国籍ではなく、行為に向いているかごみ、騒音、違法な働かせ方。ルールは住む人みんなに同じにかけるもの
- 04数字や事実にもとづいているかどの地域で、何が、どれくらい起きているのか
- 05困っている人に、届くか日本人の住民も、外国人の住民も。誰の、どんな困りごとが軽くなるのか
在留資格・就労・退去強制・国籍は国、取締りは国と警察。住民票、税と保険、暮らしのルール、日本語、学校、防災、相談は市です。
見るべきは、誰が決めることかと、国籍ではなく行為に向いているかの2つ。
もっと、くわしく。
道路や学校、福祉など、ほかの分野で誰が何を決めるかは どこまでが、市の仕事か に、 国・県・市・地域の役割分担の考え方は 誰が、どこまで担うのか に書いています。 言葉の意味は、ことばの、意味 にまとめています。