Money, simply

市の減税で、
暮らしはどれだけ変わる?

「税金を下げます」と聞くと、家計がぐっと楽になる気がします。

では、市が下げられる税で、実際にいくら変わるのか。三郷市の数字で計算します。

Short answer

先に、
こたえを書きます。

月 約1,180円市民税を1割下げたときに、年収500万円の人が安くなる額の目安です。

一方で、市に入るお金は、年に約9.7億円へります。そして、へった分を国が埋めてくれることはありません。

1人あたりでは月1,000円ほど、市全体では年10億円近く。この2つの数字を、あわせて見ることが大切です。 なぜそうなるのか、ひとつずつ見ていきます。

Who sets the rate

市が決められる税は、
ここまで。

わたしたちが払っている税のうち、市が税率を決められるものは、ごく一部です。 所得税や消費税は国が、住民税のうち4%分は県が決めます。

  • 所得税決めるのは 国法律(国会)で決まる。市は動かせない
  • 消費税決めるのは 国地方消費税の分も、率は法律で決まる
  • 県民税(住民税の4%)決めるのは 県県の条例で決まる
  • 市民税(住民税の6%)決めるのは 市市が条例で率を決められる。いちばん大きなレバー
  • 固定資産税・都市計画税決めるのは 市土地や建物を持っている人にかかる。市が条例で率を決められる
  • 軽自動車税決めるのは 市市が決められるが、市税の1%ほど

住民税は、所得のおよそ10%。そのうち市の分は6%です。 市が「減税」と言うとき、動かせるのは主にこの6%の部分と、土地や建物にかかる固定資産税・都市計画税です。

市たばこ税は、税率が法律で一つに決まっていて、市が変えることはできません。国民健康保険税は、国保に入っている人の医療のための税で、市税とは別の財布(特別会計)です。

For one person

あなたの場合、
いくら安くなる?

年収と、市民税をどれだけ下げるかを選んでください。市民税(所得割)の目安と、安くなる額を計算します。

いまの市民税(所得割)141,300円/年
安くなる額(1年)14,130円
安くなる額(1か月)1,180円

そのとき、市に入るお金は 年 約9.7億円 へります。

1割下げたときの目安を、年収ごとに並べるとこうなります。

年収市民税(所得割)1割下げると(年)1か月
年収300万円66,900円6,690円約560円
年収400万円102,300円10,230円約850円
年収500万円141,300円14,130円約1,180円
年収700万円221,700円22,170円約1,850円
年収1,000万円365,700円36,570円約3,050円

率で下げる減税は、もともと多く払っている人ほど、安くなる額も大きくなります。 そして、市民税を払っていない人(子ども、収入が少ない人、年金だけで暮らしていて非課税の人など)には、この減税は届きません。 三郷市の人口142,041人のうち、市民税を払っているのは77,711人。約6.4万人は、この減税の対象になりません。

計算は目安です。給与だけの単身者で、扶養や医療費・保険などの控除はなし、社会保険料は給与の15%として、令和8年度の住民税のしくみで計算しました(調整控除は市の分1,500円で概算)。実際の額は、家族構成や控除で変わります。

For the whole city

市全体では、
年 約9.7億円。

三郷市の個人市民税は、令和7年度決算で約99.4億円。このうち、所得に応じてかかる「所得割」はおよそ97.1億円です。 これを1割下げると、市の収入は年に約9.7億円へります。

12,490円市民税を払っている人1人あたりの平均。
1か月にすると約1,040円です。

1人あたりでは月1,000円ほど。でも、まとめると一般会計(617.5億円)の約1.6%にあたります。 大きさの目安として、令和8年度の予算にある事業をいくつか並べてみます。

  • 01
    小学校の校舎の改修約9.6億円(令和8年度当初予算)
  • 02
    こども医療費の支給約7.5億円(令和8年度当初予算)
  • 03
    ごみの収集・運搬約6.5億円(令和8年度当初予算)

減税を続けるなら、この大きさのお金を、毎年どこかから出し続けることになります。事業を減らすか、貯金(基金)を取りくずすか、ほかの収入をふやすか、です。

ここに並べた事業は、大きさをくらべるための例です。これを削ればいい、という意味ではありません。所得割の額は、個人市民税から均等割(1人3,000円×納税義務者数)を差し引いた鈴木優作の推計です。

Land and houses

固定資産税・都市計画税なら、
どうなる?

土地や建物にかかる税も、市が率を決められます。ちょうど三郷市では、令和8年3月の議会で、都市計画税の率を0.15%から0.2%へ上げることが決まりました(令和9年度から)。 そのときの市の説明が、上げ下げの大きさを知る手がかりになります。

都市計画税 0.05ポイントの差市の説明より

1軒あたり土地120㎡・木造の家100㎡で、年6,000円(月500円)

市全体年 約3.3億円

固定資産税を1.4%から1.3%に下げたら計算

1軒あたりいま払っている固定資産税の約7%が安くなる

市全体年 約7.6億円へる

ここでも、1軒あたりでは月数百円、市全体では数億円という形は同じです。 それに、賃貸に住んでいる人は、この税を直接は払っていません。安くなるのは、土地や建物を持っている人や会社です。

都市計画税の数字は、令和8年3月定例会 議案第7号の質疑での市の答弁(0.15%→0.2%で年約3億3,000万円の増、モデルケースで年1万8,000円→2万4,000円)。固定資産税は、令和8年度当初予算の現年課税分 約105.8億円に、1.4分の0.1を掛けた計算です。

What about Nagoya

名古屋市は、
うまくいったのでは?

市町村の減税というと、名古屋市を思い浮かべる人も多いと思います。名古屋市は平成24年度から、市民税を5%下げつづけています。 名古屋市が公表している数字で、三郷市とならべてみます。

名古屋市三郷市
人口約235.4万人約14.2万人
一般会計1兆6,172億円617.5億円
個人市民税2,528億円約99.4億円
市民税の減税5%(もし5%なら)
1年の減税額約102億円約4.9億円
単身・年収500万円年7,400円年 約7,100円

ここから、3つのことがわかります。

  • 01
    名古屋でも、1人あたりは月600円ほど単身・年収500万円で年7,400円(名古屋市の試算)。納税義務者1人あたりの平均でも、年およそ8,000円です(令和6年度 99億円÷123.5万人)。 率で下げる減税は、効果が1人ひとりの税額で決まります。人口が多いまちでも、1人あたりが大きくなるわけではありません。
  • 02
    まちの大きさが、大きくちがう名古屋市は人口で三郷市の約17倍、一般会計で約26倍。会社や本社も多く、市税は6,674億円あります。 三郷市は、自由に使えるお金の余裕を示す経常収支比率が、令和6年度決算で100%を超えています。同じ減税でも、受けとめる体力がちがいます。
  • 03
    名古屋市自身の検証では名古屋市が委託した調査(平成29年)は、5%減税の額を歳入の約1%、市の経済規模の約0.1%と試算し、 減税で市内への転入がふえる効果は小さいと考えられる、統計の変化を減税だけの効果とみなすことはできない、としています。

名古屋市は、歳出の削減とあわせて減税を続けている、と説明しています。大きな財政規模の中で、毎年およそ100億円を用意しつづけているということです。 まちの大きさや財政の状況がちがうので、名古屋市の例を、そのまま三郷市にあてはめることはできません。また、名古屋市でも、1人あたりの減税額は月数百円です。

名古屋市の数字は、名古屋市「令和7年度予算のあらまし」「市民税減税について」「減税額のモデルケース」「市民税5%減税の導入に伴う経済的影響等の調査委託 報告書」(平成29年10月)、人口は名古屋市の推計人口(令和8年10月1日)によります。三郷市の5%の場合は、このページの計算と同じ方法による鈴木優作の推計です。三郷市の経常収支比率が令和6年度決算で100%を超えたことは、令和8年3月定例会での市の答弁によります。

No one fills the gap

へらした分は、
交付税では埋まらない。

「減税で足りなくなったら、国の地方交付税で埋まるのでは」と思うかもしれません。埋まりません。

交付税の計算に使う「入るはずの税金(基準財政収入額)」は、市が実際にかけている率ではなく、国が決めた標準の率(標準税率)で計算します。 市が自分で率を下げても、国の計算では「入るはず」のまま。だから交付税はふえず、へった分は、まるごと市の負担になります。

さらに、標準税率より低くすると、学校や道路をつくるための借金(建設地方債)を借りるのに、国(総務大臣)や県知事の「許可」が必要になります。 ふだんは「協議」や「届出」ですむ手続きです。許可のときには、減税の分を借金で将来の世代に回していないか、行政改革などで自分で財源を出しているかが確かめられます。

減税は、市の判断でできます。
ただし、その分のお金は、市が自分で用意するしくみです。

What to ask

減税の話を聞いたら、
ここを見る。

減税が良いか悪いかは、このページでは決めません。ただ、話を聞くときに確かめておきたいことは、はっきりしています。

  • 01
    どの税を、どれだけ下げるのか市民税か、固定資産税か。何%か。それで1人・1軒あたりの額が決まる
  • 02
    1人あたり、いくら安くなるのか年収や家族によって変わる。払っていない人には届かない
  • 03
    市全体で、いくらへるのかその分は交付税では埋まらない
  • 04
    そのお金を、どこから出すのかどの事業を減らすか、貯金を使うか、ほかの収入をふやすか
  • 05
    何年つづけるのか1年だけか、ずっとか。ずっとなら、毎年同じ額が要る

市が動かせる税は、住民税の6%の部分と、土地や建物にかかる税が中心。1割下げても、1人あたりは月1,000円前後です。

見るべきは、1人あたりで安くなる額と、
市全体で毎年へる額の両方。

三郷市のお金がいまどうなっているかは、三郷市の財政を知る と 三郷市は、赤字なの? に、数字と出典つきで書いています。

もっと、くわしく。

交付税の「入るはずの税金」のしくみは 不交付団体は、やりくり上手のしるし? に、 三郷市の税収がどう動いてきたかは 人口が減ると、税収は減るのか に書いています。 言葉の意味は、ことばの、意味 にまとめています。

Sources & Notes

作成:鈴木優作(三郷市議会議員/創政MISATO)
違っているところがあれば教えてください。直して、直した記録を残します。