思われている議員と、
法律が定める議員。
- 家の前の道路を直してくれる
- 役所に話を通してくれる
- 地域の行事に、必ず顔を出す
- 夜でも休みでも、電話に出てくれる
- 議会は、まちの議事機関自治法89条1項
- 議会は、重要なことを議決し、検査・調査する同2項
- 議員は、議会の権限のために、誠実に働く同3項
- 個別の案件を動かす権限は、どこにもない
議員の仕事が法律にはっきり書かれたのは、2023年(令和5年)の地方自治法の改正です。それまで長いあいだ、議員が何をする仕事なのかを正面から定めた条文はありませんでした。
普通地方公共団体に、その議事機関として、当該普通地方公共団体の住民が選挙した議員をもつて組織される議会を置く。
地方自治法 第89条第1項前項に規定する議会の権限の適切な行使に資するため、普通地方公共団体の議会の議員は、住民の負託を受け、誠実にその職務を行わなければならない。
地方自治法 第89条第3項ここで大事なのは、議員の仕事が「議会の権限の適切な行使に資するため」にあると書かれていることです。法律が考える議員は、一人で動く人ではなく、議会という合議の場で、決めることと確かめることを担う人です。条例も予算も、調査も、権限を持っているのは議員一人ひとりではなく、議会です。
個別の案件は、
議会が議決した枠の中で動いている。
市役所が一つひとつの案件を進めるとき、その根っこには、議会が議決した条例と予算があります。市長と職員は、その枠の中で、自分たちの判断と責任で仕事を進めることが法律で決まっています。
- 条例
- 予算
- 決算の認定
- 市の税
- 大きな契約
- 財産の処分
- どの道路から直すか
- 申請の審査
- 窓口の対応
- 業者を選ぶ入札
- 職員の配置
市民の方からの「この件をなんとかして」は、ほとんどがこの内側にあります。
普通地方公共団体の執行機関は、当該普通地方公共団体の条例、予算その他の議会の議決に基づく事務及び法令、規則その他の規程に基づく当該普通地方公共団体の事務を、自らの判断と責任において、誠実に管理し及び執行する義務を負う。
地方自治法 第138条の2たとえば、こういうことです
- 議会が議決する(枠)市長と職員が動く(中身)
- 道路の穴・舗装道路を直すための予算と、計画どの道路から、いつ、どう直すか
- 保育所に入れるか保育の条例と、保育所の予算一人ひとりの入所の審査と、結果の通知
- 補助金補助金の予算(交付の要綱は市がつくる)申請の審査と、交付するかどうかの決定
- 窓口の対応職員の数の条例と、人件費の予算その日の窓口の担当と、一件ずつの対応
議員が個別の案件に口を出すことは、自分たちで議決した枠を、自分たちで飛びこえることになります。私たち議員がすべきなのは、枠そのものが正しいかを決め、その枠の中で市がきちんと動いたかを確かめることです。
- 決める議会条例と予算を議決する。何に、どれだけ使うか。
- 動く市長・職員枠の中で、一件ずつ判断して進める。
- 確かめる議会決算の認定、一般質問、委員会の調査で、結果を見る。
- 直す議会同じ困りごとがくり返すなら、条例や予算を変える。
議員が現場のハブになると、
何が起きるか。
「議員に言えば、役所が動く」。このやり方を、ここではハブ型と呼びます。相談がすべて議員に集まり、議員から担当課へ伝わる形です。
ハブ型
相談は議員に集まり、議員が担当課へ伝えます。議員を知っている人の話だけが、先に届きます。
枠をつくる型
市民は担当課へ直接届けます。議員は議会で枠を決め、その枠の中で市がきちんと動いたかを確かめます。
ハブ型が生む、4つのこと
- 議員を知っている人だけが、早くなる同じ困りごとでも、議員を通した人の話が先に進むなら、それは口利きです。市の窓口に直接言った多くの人が、後回しになります。
- しくみの欠けが、表に出ない一件ずつ例外で片づけると、基準や予算のどこに原因があるのかが残らず、次の人がまた同じところで困ります。
- 議員の時間が、個別の対応で埋まる議案を読み、予算と決算を確かめ、質問を準備する。議会の仕事に使うはずの時間が、取り次ぎに消えていきます。
- その議員がいないと、地域が回らなくなる取り次ぎの役は、その人に結びつきます。引退すると地域が困るので、後を継ぐ人にも同じことが求められます。
ハブ型のままでは、
次の議員が生まれにくい。
議員という仕事を、求人票にしてみます。同じ市議会議員でも、どちらの形で考えるかで、手をあげられる人がまったく変わります。
まちの何でも窓口
- 夜も休みも、相談の電話に出られる
- 地域の行事・会合に、ほぼすべて出られる
- 役所の担当課に、顔がきく
- 長年、その地域に根を張っている
手をあげられるのは、時間と地盤がある、ごく一部の人。
まちの枠をつくり、確かめる人
- 議案と予算を読み、確かめられる
- 市民の声から、しくみの問題を見つけられる
- 議会で、理由とともに賛否を示せる
- 何をしたかを、市民に公開できる
会社員も、子育て中の人も、若い世代も、手をあげられる。
2023年の法律の改正も、きっかけは全国の議員のなり手不足でした。国の地方制度調査会は、議員の役割を法律で示すことを、多様な人が議会に参加できるようにするための対策として答申しています。議員の仕事が「何でも窓口」と思われているかぎり、法律に何が書かれていても、手をあげる人は増えません。変えるべきは、議員のイメージそのものです。
イメージは、
三者で変えていける。
議員だけが変わっても、議員に頼まないと動かない市役所のままなら、元にもどります。議員、議会、市民のみなさん、それぞれにできることがあります。
議員私がしていること
- 個別の相談は、担当課へつなぐ話を通すのではなく、窓口をお伝えします。お返事しないものの基準も、先に書いています。
- 同じ声が重なったら、議会で取り上げる一件ずつではなく、しくみとして直します。取り上げる基準は 議会で取り上げる基準。
- 何を決め、何を確かめたかを公開するすべての議案への賛否と理由を、活動の記録 に残しています。
議会議会として考えたいこと
- 議会が何を決めたかを、市民に伝える議員一人ではなく、議会として結論と理由を届けます(議会の広報)。
- 市民の声を、議会が正式に受け取る請願・陳情など、議員個人を通さなくても届く道があります(議会に声を届ける方法)。
- 働きながらでも、続けられる議会にする会社員や子育て中の人が議員を続けられる運営を、議会として考えるべきだと私は考えています。
市民のみなさんお願いしたいこと
- 個別の困りごとは、市へ直接担当課や道路緊急ダイヤル #9910 が、いちばん早く確かです(困ったとき、どこに言えばいいか)。
- 議員には、しくみの話を「同じことで困っている人が、ほかにもいる」。その声こそ、議会で生かせます。
- 議員を、動いた量ではなく、決めたことで見るどれだけ顔を出したかより、何を決め、何を直したかで評価してください。
議員は、まちの窓口ではなく、
まちの枠をつくる人。
困っている人の話を聞くことを、やめるわけではありません。聞いた声を、取り次ぎで終わらせず、次の人が困らない枠に変えるのが、議員の仕事です。そう思われるまちになったとき、議員は、時間と地盤のある一部の人だけの仕事ではなくなります。
議員がハブであることをやめたとき、
次の議員が生まれる。
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