任期の途中で議員が辞める道は、
5つしかない。
市議会議員の任期は4年です(地方自治法第93条)。三郷市議会の次の一般選挙は2029年7月の予定で、いまの任期は2029年8月10日までです。任期の途中で議員が職を離れる道は、決める人ごとに次の5つに分かれます。
- 01市民が決めるリコール
(解職請求)有権者の3分の1の署名を集め、住民投票で過半数が賛成すれば、その議員は職を失う。くわしく - 02市民が決める議会の
解散請求同じく3分の1の署名と住民投票で、議員24人全員をまとめて辞めさせる。くわしく - 03議会が決める除名
(懲罰)議会の会議でのルール違反に対して、議員の4分の3以上の同意で科す、もっとも重い懲罰。くわしく - 04本人が決める辞職本人が辞職を願い出て、議会(閉会中は議長)が許可する。くわしく
- 05法律で決まる失職市外への転居、一定の刑、禁じられた兼業など、議員でいられない条件にあてはまったとき。くわしく
このほかに、議会が「辞職を勧める」決議をすることや、政治倫理審査会が辞職を勧告することがあります。ただし、これらには議員を辞めさせる法的な力はありません。最後の表で、5つの道とあわせて比べています。
リコール(解職請求)には、
有権者の3分の1の署名が要る。
市民の側から、特定の議員一人を辞めさせる制度です。地方自治法第80条に定められています。理由は問われません。必要なのは、決められた数の署名と、そのあとの住民投票です。
選挙権を有する者は、政令の定めるところにより、所属の選挙区におけるその総数の三分の一(その総数が四十万を超え八十万以下の場合にあつてはその四十万を超える数に六分の一を乗じて得た数と四十万に三分の一を乗じて得た数とを合算して得た数、その総数が八十万を超える場合にあつてはその八十万を超える数に八分の一を乗じて得た数と四十万に六分の一を乗じて得た数と四十万に三分の一を乗じて得た数とを合算して得た数)以上の者の連署をもつて、その代表者から、普通地方公共団体の選挙管理委員会に対し、当該選挙区に属する普通地方公共団体の議会の議員の解職の請求をすることができる。この場合において選挙区がないときは、選挙権を有する者の総数の三分の一(その総数が四十万を超え八十万以下の場合にあつてはその四十万を超える数に六分の一を乗じて得た数と四十万に三分の一を乗じて得た数とを合算して得た数、その総数が八十万を超える場合にあつてはその八十万を超える数に八分の一を乗じて得た数と四十万に六分の一を乗じて得た数と四十万に三分の一を乗じて得た数とを合算して得た数)以上の者の連署をもつて、議員の解職の請求をすることができる。
地方自治法 第80条第1項三郷市議会議員の選挙には選挙区がなく、市全体が一つの選挙区です。また、有権者は40万人よりずっと少ないので、括弧の中の計算は使いません。つまり、三郷市の有権者全体の3分の1が必要な数になります。
三郷市では、何人の署名が要るか
有権者数は2026年11月1日の市長選挙の当日有権者数(三郷市選挙管理委員会の投票速報)。実際に必要な数は、選挙管理委員会がその時点の選挙人名簿をもとに告示する数です(地方自治法第80条第4項で第74条第5項を準用)。名簿の人数は、転入・転出や18歳になる人で少しずつ変わります。
37,814人がどのくらいの数かを、同じ日の市長選挙と比べてみます。2026年11月1日の市長選挙で投票した人は40,177人(投票率35.42%)でした。リコールの署名は、市長選挙で投票した人とほぼ同じくらいの人数を、1か月のうちに集める必要があります。
署名から住民投票まで、こう進む
- 代表者が、選挙管理委員会に申し出る
請求の代表者が、請求の要旨をそえて三郷市選挙管理委員会に代表者証明書の交付を申請します。交付されると、選挙管理委員会がそのことを告示します。地方自治法施行令 第91条(第110条で準用)
- 署名を集める1か月以内
署名を集められるのは、告示の日から1か月以内です(指定都市以外の市)。代表者と、代表者から頼まれた受任者が、署名簿に署名を集めます。署名できるのは、三郷市の選挙人名簿に登録されている人です。地方自治法施行令 第92条第3項(第110条で準用)
- 署名簿を出し、選挙管理委員会が確かめる20日以内
集め終えたら5日以内に署名簿を選挙管理委員会に出します。選挙管理委員会は20日以内に、一人ずつ名簿に登録された人かを確かめ、有効な署名の数を決めます。地方自治法施行令 第94条第1項、地方自治法 第74条の2第1項(第80条第4項で準用)
- 署名簿を縦覧する7日間
確かめ終えた署名簿は、7日間、関係する人が見られるように公開されます(縦覧)。署名に異議がある人は、この間に申し出ることができ、選挙管理委員会は14日以内に決定します。地方自治法 第74条の2第2項・第4項・第5項(第80条第4項で準用)
- 請求する
有効な署名が3分の1以上あれば、代表者が選挙管理委員会に解職を請求します。選挙管理委員会は、ただちに請求の要旨を公表します。地方自治法 第80条第2項
- 住民投票を行う60日以内
選挙管理委員会は、すべての有権者による解職の投票を行います。投票は、請求があったことの告示から60日以内に行い、投票日は20日前までに告示されます。投票のしかたは、ふだんの選挙と同じ公職選挙法の決まりによります。地方自治法 第80条第3項・第85条、地方自治法施行令 第113条(第100条の2を準用)
- 過半数が賛成すれば、職を失う
解職の投票で、賛成が過半数になれば、その議員は職を失います。過半数に届かなければ、議員はそのまま任期を続けます。
普通地方公共団体の議会の議員又は長は、第八十条第三項又は第八十一条第二項の規定による解職の投票において、過半数の同意があつたときは、その職を失う。
地方自治法 第83条請求できない時期と、気をつけること
第八十条第一項又は第八十一条第一項の規定による普通地方公共団体の議会の議員又は長の解職の請求は、その就職の日から一年間及び第八十条第三項又は第八十一条第二項の規定による解職の投票の日から一年間は、これをすることができない。ただし、公職選挙法第百条第六項の規定により当選人と定められ普通地方公共団体の議会の議員又は長となつた者に対する解職の請求は、その就職の日から一年以内においても、これをすることができる。
地方自治法 第84条議員が職を失ったあと、その席がすぐ埋まるとはかぎりません。三郷市議会では、欠員が定数の6分の1(4人)を超えないと補欠選挙は行われないためです。くわしくは 補欠選挙のしくみ に書いています。
議会の解散請求は、
24人全員を一度に辞めさせる。
一人ではなく、議会そのものを解散させる請求もあります(地方自治法第76条)。必要な署名は、リコールと同じ有権者の3分の1、目安で37,814人です。住民投票で過半数が賛成すると議会は解散し、議員24人の全員が職を失って、新しい議員を選ぶ選挙が行われます。
普通地方公共団体の議会は、第七十六条第三項の規定による解散の投票において過半数の同意があつたときは、解散するものとする。
地方自治法 第78条第七十六条第一項の規定による普通地方公共団体の議会の解散の請求は、その議会の議員の一般選挙のあつた日から一年間及び同条第三項の規定による解散の投票のあつた日から一年間は、これをすることができない。
地方自治法 第79条三郷市議会の一般選挙は2025年7月20日だったので、この1年もすでに過ぎています。署名を集める期間(1か月)や、解散の投票を60日以内に行うことは、リコールと同じです(地方自治法施行令第100条・第100条の2)。
なお、議会が自分で解散を決めることもできます。この場合は、議員の4分の3以上が出席し、その5分の4以上が賛成することが必要です(地方公共団体の議会の解散に関する特例法)。
除名は、議会が決める。
対象は、議会の中でのこと。
除名は、議会が議員に科す懲罰のうち、いちばん重いものです。除名されると、その議員は議員の身分を失います。ただし、市民が求めて始められる制度ではありません。始められるのは議員だけで、対象も、法律や会議規則に違反した議会の中での行為にかぎられます。
懲罰は、左の通りとする。
一 公開の議場における戒告
二 公開の議場における陳謝
三 一定期間の出席停止
四 除名
2 懲罰の動議を議題とするに当つては、議員の定数の八分の一以上の者の発議によらなければならない。
3 第一項第四号の除名については、当該普通地方公共団体の議会の議員の三分の二以上の者が出席し、その四分の三以上の者の同意がなければならない。
三郷市議会(定数24人)で、除名に要る人数
同意の人数は、出席者が16人のときの最少の数です。全員(24人)が出席していれば18人が必要です。動議は懲罰の理由があった日から3日以内に出し、必ず委員会で審査してから本会議で決めます(三郷市議会会議規則 第160条・第161条)。
除名された人も、次の選挙で当選すれば、議会はその人を拒めません(地方自治法第136条)。また、除名された議員は、その処分が違法だと考えるときは、知事に審決を申請することができます(地方自治法第255条の4)。懲罰の種類と手続きは 懲罰動議とは何か にくわしく書いています。
辞職は、
本人が決める。
議員は、自分の意思で辞職することができます。会期中は議会の許可、会期の外(閉会中)は議長の許可を得て辞職します(地方自治法第126条)。議会や市民が、本人に代わって辞職を決めることはできません。
議会が「辞職を勧める」決議(議員辞職勧告決議)をすることがありますが、これは議会の意思を示すもので、本人が応じなければ、議員の身分は変わりません。三郷市議会議員政治倫理条例にもとづく審査会が辞職を勧告する場合も同じです。
政治倫理審査会の審査は、市民が請求することもできます。必要なのは有権者の50分の1以上の連署で、三郷市では目安で2,269人です。手続きは 政治倫理審査会は、どう始まり、どう終わるのか に書いています。
失職は、
法律で決まる。
誰かが決めなくても、議員でいられない条件にあてはまれば、議員は職を失います。主なものは次の4つです。
当選人は、その選挙の期日後において被選挙権を有しなくなつたときは、当選を失う。
公職選挙法 第99条5つの道と、2つの勧告を
ならべてみる。
| 誰が始めるか | 必要な数(三郷市の目安) | 誰が決めるか | 辞めさせる力 | |
|---|---|---|---|---|
| リコール | 市民(代表者) | 有権者の3分の137,814人の署名 | 住民投票の過半数 | ある |
| 議会の解散請求 | 市民(代表者) | 有権者の3分の137,814人の署名 | 住民投票の過半数 | ある(24人全員) |
| 除名 | 議員 | 3人の発議議会の中での違反にかぎる | 議会(16人以上出席、その4分の3以上) | ある |
| 辞職 | 本人 | 本人の願い出 | 議会(閉会中は議長)の許可 | ある |
| 失職 | 法律 | 転居・刑・兼業など | 法律(兼業は議会が決定) | ある |
| 辞職勧告決議 | 議員 | 決議案の提出 | 議会の過半数 | ない本人が応じるかしだい |
| 政治倫理審査会の勧告 | 市民または議員 | 市民なら有権者の50分の12,269人の連署 | 審査会 | ない本人が応じるかしだい |
「必要な数」は、2026年11月1日の市長選挙の当日有権者数 113,441人と、議員定数24人をもとにした目安です。
いちばん大きな道は、
次の選挙。
リコールも解散請求も、最後は有権者の投票で決まります。任期の終わりには、すべての議員が選挙で選び直されます。三郷市議会の次の一般選挙は2029年7月の予定です。どの議員が、何に賛成し、何に反対したかは、議会の会議録や 活動の記録 で確かめることができます。
議員の席を決めるのは、
最後は、有権者の一票です。
ご意見を、届ける。
辞めてほしいと思った理由そのものも、私は知りたいと思っています。理由をお伝えいただける場合は、お問い合わせフォーム からお送りください。お返事のしかたは お問い合わせ対応ガイドライン に、SNSでお返事しないものは SNSで、お返事できないこと に、SNSの使い方は ソーシャルメディア・ガイドライン に書いています。議員の仕事が法律でどう決まっているかは 議員のイメージを、どう変えていけるか にまとめました。